FTによるとインドと中国は第二次大戦時に援蒋ルートとして建設されたレド・ロード別名スティルウエル・ロードをまもなく再開させるということだ。レド・ルートというのは、インドのアッサム州レドから中国の昆明を結ぶ道路で、日本軍に物資輸入を封鎖された中国に連合軍が物資を送るため建設したものである。蒋介石Chiang Kai Shekが建設を指揮した米国の将軍スティルウエルの名前を付けることを薦め、スティルウエル・ロードとなった。建設に携った米兵は1万5千人、現地人は3万5千人で11百人の米兵が工事中に死亡する(恐らくそれ以上の現地人が死亡)という難工事だった。
中国とインドは現在ミヤンマーの軍事政権が民主化運動に対して弾圧政策を取っていることについて非難することを避けている。その大きな理由の一つがビルマ経由でインドと中国の間に高速道路を建設することにある。このために両国はミヤンマーと友好関係を維持したい訳だ。道路建設はインド側が遅れているが、FTによると来年3月までに2車線の高速道路を完成させる予定だ。インド政府は長年北東部の暴動に苦しめられてきたが、経済発展が政情安定化の王道と考えてこの地域をミヤンマー経由で外部に結びつけることに力を入れている。インドのアイヤールAiyar北東地区担当大臣は「第二次大戦で連合軍がスティルウエル援蒋ルートを開通させて日本を負かした様に、現在の経済競争で我々はスティルウエル道路を再開して日本を再び打ち負かすことが可能ではないか?」という。
なおインド北東部にとってより重要な輸送ルートはカラダン河を経由してミヤンマーの港町シットウに結びつけるルートであるが、スティルウエル道路は歴史的な背景があったので話題になったということだろう。
インドのアイヤール大臣が言うように、インド北東地区が活性化するとやがて日本にとって脅威になる日が来るかもしれないが、私はこれを大いに歓迎したい。経済発展は紛争地区に争うことより生産性を高める方が幸せに近づく道であることを教えてくれる。日本は建設機械の輸出などを通じてこの地域の発展に貢献すれば良い。お互いの反映は勝ち負けの彼岸にある。