10月7日日曜日晴、ワイフと都電荒川線に乗って散歩をする。高田馬場から15分程歩いて「面影橋」駅につく。高田馬場からは「学習院下」の方が僅かに近そうだがワイフが「面影橋という名前が良い」というのでそちらに向かう。この近くには山吹の里という地名がある。大田道灌の「山吹の伝説」の発祥の地ということだ。もっとも山吹の里は埼玉県の越生町にもあり、どちらが本家かは知らない。
東京近郊に住んで30年になるが都電荒川線に乗るのはほとんど始めてである。ほとんどというのは昔池袋界隈で働いていた時に意識せずに乗っていたことがあるかもしれないからだ。映画「三丁目の夕日」のイメージでレトロな趣味的電車かと思っていたが、沿線の住人の大切な足になっているようで混んでいるのに驚く。面影橋から30分近くかかって王子に到着。
王子では「紙の博物館」に入る。入館料は300円。飛鳥山公園はオープンマーケットで人の山だが博物館の中は空いていた。恐らく製紙会社を退職されたと思われるボランティアのおじさんが丁寧に紙の起源を説明してくれた。驚いたことは「紙は蔡倫が発明したのではなく、その150年以上も前からあった」という話だ。私の記憶では学校で後漢の蔡倫が西暦105年に紙を作ったと習ったようだったが・・・・。因みに中国では蒙恬造筆 蔡倫造紙と対句になっている。後ほど調べたところやはり蔡倫は紙の発明者ではなく改良者だということが分かった。
博物館の前にパピルスや和紙の材料のコウゾの鉢植えがあった。
写真はコウゾ。切れ込みに特徴がある。ところで日本は江戸時代の頃各地で紙が生産され大量に流通していた。人々はこの紙を使って本を読み、習字を行ったのである。日本人を未開の野蛮人と思っていたペリーが実際に来日して日本人を見たところその識字率の高さに驚嘆したという話があるが、豊富な和紙が江戸の文化と教育を支えたことは間違いない。
紙の博物館を出て滝野川の方に少し歩くと「渋沢資料館」があるが、10月一杯は休館となっていた。その向かい側に渋沢栄一の書庫として使われた青淵文庫があるが中を見ることは出来なかった。
青淵文庫を過ぎてしばらく行き本郷通りを渡って200mほど行くとゲーテ記念館がある。ただし土日祝日は閉館。
滝野川公園を通って京浜東北線の上中里駅に向かう。公園の中のステージで70年代のフォークソングを歌っている人がいた。「遠い世界に」を一曲聴いていく。あの頃の歌には意味があった・・・・
この王子から飛鳥山の博物館を回って上中里に行くコースはよく紹介されている散歩コースだ。歩数にして大体8千歩程度だった。