昨日(1月6日)藤井財務相が辞任し、後任が菅直人副総理に決まった。藤井財務相が辞任した理由は「健康上の問題」(鳩山首相)。だが日経新聞は「77歳と高齢で血圧も高く、通常国会で予想される激しい論戦に耐えられない、というのは表向きの理由だ」と報じている。
この件についてエコノミスト誌は面白い表現で、藤井氏の辞任背景を説明している。「病気は藤井氏の主な問題ではない。真相は鳩山派閥のトップとのbad bloodにあると思われる」
Bad bloodは「不快な思い、ある個人やグループに対する敵意」を意味する熟語だ。面白いと思ったのは、藤井氏の辞任理由が高血圧High blood pressureではなく、敵意bad bloodというbloodでつながっている点だ。
藤井氏と小沢幹事長の関係悪化に関する説明は、本日の日経新聞に書かれている内容とほぼ一致するので説明は省略して、エコノミスト誌が小沢幹事長の言動について批判している部分を紹介しておこう。
「公共投資に対する民主党への要請はすべて小沢チャンネルを通るようになっている。小沢氏はしばしば政府に利益よりも民主党の利益を優先しているように見える。彼の影響力は日本の政治の透明性を改善することを誓約して、政権を取った民主党とほとんど調和することはない」
その小沢氏についてだが、朝日新聞によると小沢氏側近は4億円の政治献金記載漏れについて同氏は7日にも東京地検の事情聴取に応じると述べたということだ。「陸山会」問題について特別の情報を持っている訳ではないのでコメントを控えて、事情聴取の結果を待ちたい。
ただ小沢氏が100名以上の民主党議員を自宅に招いて新年会を開いたなどと聞くと随分大きな自宅にお住まいなんだなぁ、そのお金はどこから来たのだろうかという素朴な疑問が沸く。
さて財務相に就任する菅副総理について欧米のメディアの反応。エコノミスト誌は「彼の就任で日本の金融市場が不安定になることはないだろう」とやや冷ややかだが、ファイナンシャル・タイムズは「菅氏は基本的にケインジアンで、恐らく(藤井氏より)積極的で拡大的なアプローチをとるだろう」という山口北大教授のコメントや「菅氏は頭の良い人なので国会で討議を上手くまとめるだろう」という歳川氏(インサイドラインの編集者)のコメントを紹介した。
いずれにせよ2008年夏から数えて菅氏は6人目の財務大臣だ。暫く腰を落ち着けて財政の舵取りをして欲しいと思っている。