27日のFTは米下院金融サービス委員会委員長バーニィ・フランク氏とのインタビュー記事を掲載していた。それによると金融規制提案~骨子は大手銀行の拡大抑制と商業銀行のヘッジファンド、プライベートエクイティ、自己勘定取引の禁止~について6ヶ月以内に立法化されるのではないかフランク委員長は述べている。また彼は「ドッド上院金融サービス委員長は3月に法案を提出するだろう」とも述べた。
またフランク委員長は「銀行にはヘッジファンド等を処理するため、最低でも3年の準備期間を与えると主張するだろう。従って資産の投売りは起こらないだろう」と述べた。
オバマ提案はミニ・グラス・スティーガルGlass-Steagall liteとあだ名を付けられた。
一方FTはオバマ提案に対するバークレーズ会長のボブ・ダイアモンドの反論も掲載している。彼は「もし大きいことが悪いといい、ナロー・バンクに移行すると雇用と世界経済に極めて悪い影響を与えるだろう」「銀行を小さくすることが問題解決になるという示唆する証拠を私は見たことがない」と反論している。
またイアモンド氏は「自己資本の強化と流動性に対する当局の積極的な規制が重要と認識するが、新しい規制は世界の主要な経済圏に共通するべきだ」と述べている。
欧州中銀のトリシェ総裁はウオール・ストリート・ジャーナルに「米国の提案は当を得たもので関心があり、意図するところを共有したい」と話している。
またフランク委員長は「バンク・オブ・イングランドのキング総裁や英国金融サービス庁のターナー会長もこの提案を支持している」と示唆した。
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オバマ提案は唐突な感じを受けたが、経済再生諮問会議のボルカー氏が草案したもので、「銀行は中核業務に注力するべき」という彼の従来からの主張が強くでている。オバマ提案がそのまま法案になるかどうか判断するのは早計かと思うが、今後の商業銀行のビジネス範囲に何らかの規制がかかることは間違いないとみて良いだろう。
もっとも銀行に自己勘定による取引を規制するなどというルールは色々と問題がある。何故なら顧客からのオーダーを受ける銀行が一時的にポジションを取ることで、金融商品の流動性に厚みが出ているからだ。
ところで仮にこの法案が可決され、日米欧である程度の足並みを揃えることになるとすれば日本にどのような影響を与えるだろうか?
例えばトレーディング収益の依存度の高い銀行は本業回帰を迫られるだろう。その結果資金需要の少ない日本では銀行間の競争がますます激化して、銀行の収益が悪化して疲弊することがなければ良いが・・・・などと私は杞憂を抱いている。