読者のごるでぃーろっくんろーるさんから次のような質問を頂いたので、とりあえず分かる範囲でお答えします。なお米国の知人に照会していますので、追加情報があればまた個別に御連絡申し上げます。
【ご質問の内容】
米国金融機関の不良債権の処理の進捗状況が知りたいです。・・・・時価会計の緩和により、損失を計上しなくて良いとなると何も進んでいないのではないか?また、債務者の返済が滞っている状況では、なにもキャッシュフローが生まれないため、毀損が進んでいるのではないか?と疑問を持ったからです。
【回答】
ムーディーズの調査の一部がhttp://www.researchrecap.com/index.php/tag/banking-system/ というサイトに出ていましたので、ポイントを拾ってみました。なおフル・レポート(US Banking Industry Fundamental Credit Conditions 3Q09)は有料です(私は読んでいません)。
- 第3四半期に不良資産は増加した。また初期の段階の遅延が増えている。これは2009年前半のポジティブな傾向に逆行するもの。このような状況にも関わらず米銀は貸倒引当金を減少させた。このことに対する一般的な説明は「同四半期においてネットの貸倒損失が減少した」というものである。
- 格付のある米銀は2008年に既に880億ドル、2009年の最初の9ヶ月間に1,120億ドルの償却を行っているが、我々が推定している償却必要額5,360億ドル(2007年12月31日のローン残高の9.7%に相当)に達するには更に3,360億ドルの償却が必要である。
- 2009年9月末のノン・パフォーミング・ローンの比率は5.2%である。また第3四半期の償却を年率換算するとローン総額の3.3%になった。
- 商業用不動産の資産劣化が住宅用不動産のそれを上回る傾向になっている。
- ポジティブな点は自己資本の増加と資産の減少から引き続き、キャピタル・レシオが改善している点である。
ムーディズは米銀はまだ償却が不足していると見ているようですが、その理由が時価会計の緩和によるものかどうかは「さわり」の部分では分かりませんでした。
以上簡単ですがとりあえずのご回答とさせて頂きます。