エコノミスト誌は「価格・賃料レシオ」を使って、「多くの国で住宅価格は歴史的に見てまだ割高だが、米国では適正水準にまで下落している」と述べていた。
この賃料・価格レシオの考え方は株価を分析する時のPER(株価収益率)と同じようなものだ。PERが長期的な平均値より高い場合は株価は割高と判断されるように、賃料・価格レシオが長期的な平均値を上回る場合は、住宅価格は割高と判断される。
この指標によると、主要な国で住宅価格が一番割安なのは日本で長期的水準より33.7%低い。次に割安なのはドイツで同じく15.2%低い。
米国の場合、ケース・シラー全国指数を使うと既に住宅価格は2009年第3四半期に長期的水準より3%安くなっている。なおFHFA(連邦住宅金融局)の統計を使うと住宅価格は長期的な適正水準より14%高くなるが、エコノミスト誌は「FHFAのデータはサブプライム・ローンで代物弁済された住宅のデータを含んでいないので、実際の住宅価格はもっと低いだろう」と判定し、ケース・シラー指数の示す住宅価格の方を重視している。
価格・賃料レシオで見て住宅価格が高いのは、英国+28.8%(長期的な適正水準比)、フランス+39.8%、スペイン+55.1%などだ。
英国についていうと、FTは昨年大晦日に英国の住宅指数Nationwaide indexは、昨年に較べて5.9%上昇したと報じている。住宅価格の上昇は、2009年は住宅価格が下落すると予想していた大部分の評論家達を驚かせている。住宅価格が上昇した理由は売り物件が少なかったので、キャッシュリッチな人の買いで住宅価格が押し上げられたということだ。
欧州諸国は似たような理由で住宅価格は高止まりしていると考えられるが、米国で住宅価格の底値が確認されたとするとこれは今年の景気を占う上で明るい材料である。