金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

雪の50名山(1)

2008年10月26日 | 

先週金曜日に山や歩くことが好きな先輩と一献傾けていた時「山登りをする時テーマがあった方が良い」という話になった。私は今の会社の連中と「山の会」を始めた時は「近隣の都道府県の最高峰を登ることを一つの目標に」ということでスタートした。そして東京都の最高峰・雲取山、埼玉県の最高峰・三宝山(甲武信岳のすぐ北の山)などに登ってきた。

一方私の個人的な山登りの一つの目標は「雪の50名山」に登るというものだ。私は冬の人のいない山が好きである。雪山は静かにして饒舌である。なお「雪の50名山」というのは市販のものではなく私が作ったものだ。100でなくて50なのはこれから100の雪山を登ることができるかどうか疑問なのでとりあえず50にした。その中には既に登った山もあるし、これから登ろうと考えている山もある。50は暫定的な数字で60になるかもしれないし、40で終わるかもしれない。ただ目標をもって山を歩くことは楽しい。

対象は「12月頃から5月連休の頃に雪のある山」「美しい写真がとれそうな山」「原則週末の休みで登ることができる山」ということにした。登山方法はスキーでもスノーシューでも一番便利な方法を使うことにした。リストの中にはごく簡単な山から少し体力と技術がいる山もある。

【関東の身近で易しい雪山】大菩薩嶺・金峰山・雲取山・笠取山・浅間隠山・赤城山・荒船山

Daibosatu

写真は大菩薩嶺から見た富士山。このクラスの山は冬でも天気が良くあまり雪が降らない。6本爪アイゼンで歩くことができる場合が多い。

【八ヶ岳連峰・美ヶ原】赤岳・阿弥陀岳・横岳(含む硫黄岳)・天狗岳・北横岳・蓼科山・美ヶ原・霧ケ峰

これらの山を一つに括るのは少し無理がある。赤岳・阿弥陀岳・横岳の頂上を極めるには本格的な雪山になり、厳冬期は8本爪以上のアイゼンや場合によってはザイルが必要だ。しかしこの地域は天気が良くアプローチも近いので一まとめで数えた。

Akadake

Akadake2

上の写真2枚は12月の赤岳。晴れた日の赤岳は美しい。下の写真は阿弥陀岳。阿弥陀の頂上は強風と寒気が支配する厳しい世界だ。

Amidadake

写真は横岳。硫黄岳から横岳の険しい稜線をたどると手先が凍えてくる。冬の八ヶ岳は美しく厳しい世界だ。

Yokodake

一方霧ケ峰や車山の辺りを暖かい日にスノーシューをはいて歩くのも楽しい。遠く着たアルプスの山々が見える。冬の大気は澄んでいて気持ちが良い。

Kirigamine

また時間がある時に残りの「私の雪の50名山リスト」を紹介したいと考えています。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

サイクリングで野川まで

2008年10月25日 | まち歩き

今日(10月25日)は少し気が重い。理由はこのところ同年代の人の不幸が続いているからだ。先週は会社の先輩の奥様が53歳でなくなり、今夜は関係会社の役員の方のお通夜に出かける予定である。お二人とも死因は大腸がんだった。同じ年代の人の死は痛ましく気が重い。

健康を意識した訳ではないが、自転車に乗って野川公園まで出かけた。以前は車を使っていたが今はできる限り自転車を使うことにしている。自宅から野川公園まで最短コースを取ると片道7km位だが少し大回りをしたので片道11,2kmはかかったかもしれない。野川公園の中には自然園があり、ムラサキシキブが実をつけていた。

Murasakisikibu

ホトトギスが群生していた。

Hana

この花の撮影にこの前ビッグカメラで4980円で購入(実際は貯まっていたポイントを使った)したゴリラポッドという三脚を使ってみた。この三脚は背は低いが軽い上に不整地や岩の上などに置いたり、木の枝に巻きつけたりすることができるので野外では便利そうだ。なお三脚の上に乗っている自由雲台は別の機材だ。この雲台はKenkoのFP-100 PROというものでアルミの無垢素材から削りだし加工をした使い易い名品だ。お値段も1万7千円と安くはない。しかし私はカメラ回りの機材で雲台のようなものは長く使うのだから、高くても良い品を持つべきだと考えている。

Gorira

林の中にはジョロウグモが沢山を巣を張っていた。今までジョロウグモをまじかに見たことがなかったが、マクロレンズを近づけながらみると実にきれいで複雑な模様をしている。

Jyorougumo

紅葉の盛りは1ヶ月以上先になるだろうが、一部に色付いた木々もあった。

Momiji

山に行かない週末は健康維持のためにスポーツクラブで汗を流すことが多い。しかし暑からず寒からずのこの時期は、野外に出てサイクリングが気持ちが良い。ファインダーの向こうには多摩の豊かな自然が見える。

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

東欧リスク~ユーロ安の一つの理由

2008年10月24日 | 金融

今日(10月24日)の日経平均は800円を超える大幅下落で終わった。少し前にそろそろ底が近いなどと考えていたが甘かったようだ。今回の株安の背景には円高による輸出企業の業績悪化がある。それに加えて最近急速に投資家が神経質になっているのは、新興国の通貨安や債務不履行リスクだ。私はユーロが円やドルに対して急速に安くなっている理由の一つに東欧のリスクの高まりがあると感じている。というのは例えユーロ圏に入っていなくても、東欧諸国は西欧諸国と密接なつながりがある。東欧諸国の混乱はユーロ圏全体に大きなマイナスを与えると市場が判断している・・・・と感じている。

今日の日経新聞にハンガリーの問題が出ていた(グローバル金融危機 苦悩の新興・中小国)。その中に過去ハンガリーの個人や民間企業は金利の高い自国通貨(フォリント)建ての借入の替わりに、金利の低いスイスフラン建てやユーロ建ての借入を行っていたという記述がある。記事によるとフォリントは今年7月対ユーロで最高値を付けたが、その後の金融危機が世界的に拡大する中で24%急落した。現地通貨が安くなると、元利返済負担は急増しデフォルトリスクが急速に高まる。

エコノミスト誌のWho's nextという記事によると、過去10年の間に西欧の銀行~オーストラリアのRaiffeisnやイタリアのUniCredit、スェーデンのSwedbankなど~が東欧諸国に進出して貸出を延ばすとともに地元銀行を買収してきた。このことは二つのリスクを持っている。一つは東欧諸国でデフォルトが急増すると、進出した西欧の銀行の収益が悪化しバランスシートが脆弱になる。また東欧諸国からみると金融がタイトになった時「外銀の貸し渋り」に合うリスクだ。

ファイナンシャル・タイムズはアルゼンチンのクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)のスプレッドが4000bpになり、ロシアのそれも1000bpになったと報じている。破綻したリーマンのCDSが800程度だったと記憶しているので、投資家がこれらの国のデフォルトリスクをいかに敏感に感じているかということが分かる。ロシアは過去8年間の石油や天然ガスの輸出で5千億ドルの外貨準備を持っているが、なお投資家はデフォルトリスクが高いと判断しているのだ。

因みに前述のエコノミスト誌の記事には欧州各国のデフォルトスワップのスプレッドとGDPに対する経常収支の割合が出ていたので、主な国の例を紹介しよう。このデータのよるとロシアのスプレッドは732.9で6.5%の黒字だ。経常赤字が多いのはウクライナで-7.2%、デフォルトスワップのスプレッドは1944.4と極めて高い。バルト三国、ハンガリー、ルーマニア、ブルガリアのデフォルトスワップのスプレッドも400bpを超えている。

東欧諸国の金融・通貨安定にはIMFの関与が不可欠だが、欧州中央銀行の関与も求められる。東欧諸国のリスクの高まりがユーロがドルや円に対して弱くなっている原因の一つであると私は見ている。

それにしても次から次へと悪材料が出てくるものだ・・・・と嘆息せざるを得ない。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

補助金不正経理と員数合わせ

2008年10月23日 | うんちく・小ネタ

「員数合わせ」とは旧日本軍の弊風で、部隊の備品の数を他所の部隊から盗んででも揃えるようなことを指す。旧日本軍では装備の数の点検が非常にうるさく、軍靴・毛布といった備品の数が規定数より少ないと体罰を加えられる。そこで不足を生じると、他所の部隊からかっぱらってきて数を揃えるようなことを員数合わせといった。

この弊風は今日の日本の官僚社会に脈々と生きている。旧社会保険庁において年金の掛け金額を間に合わせるため、加入者の標準報酬を低く改竄(かいざん)するなどは今日の員数合わせの好例である。

今話題になっている地方自治体の補助金不正経理にも員数合わせの悪習が残っている。不正経理の内職員による横領などは犯罪以外のなにものでもない。しかし制度的な問題から員数合わせを行っているケースもあるようだ。

今日(10月23日)の日経新聞朝刊によると「不正経理が横行する背景には、国の補助金制度と単年度予算に基づく国や自治体の会計制度が抱える問題点もある」ということだ。「補助金事業は自治体の判断では繰り越せないので、必要ないものを購入したり、業者への『預け』という形で不正に繰り越す手法がまかり通ってきた」(同紙)のである。

私は全体としては日本人は非常に優秀な人種だと考えているが、大きな弱点は役人を中心に(旧日本軍の中枢も戦闘員というより官僚だろう)、マニュアルや規則の改定を非常に嫌い、規則を現実に合わせるのではなく、現実を規則に合わせようとする点だ。

10月25日付の週間ダイヤモンドは「『歴史を知れば経済がわかる!」という特集を組んでいる。その中に「常時、継戦能力を維持した第二次大戦期の米国最強の秘密」(著者 矢澤 元)という記事がある。そこで著者は米軍の強さの秘密は「可動率保証」が優れていたからだと述べる。「可動率」とは「動かしたいときに動く率」で、戦いたいときに戦える能力ということだ。

著者は米軍がこの可動率を維持できた理由を絵や図を満載した分かりやすいマニュアルに求めている。このマニュアルは実戦の変化に対応できなくなれば、即、改訂された。

著者によると「一方、日本の場合、作戦要務令などのマニュアルを改訂する際は、天皇陛下のご裁許を必要とした」のである。

今回の不正経理の一つの原因である「補助金制度」の元になっている法律は昭和30年に定められた「補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律」で、その第三条に「関係者の責務」として「補助金等が国民から徴収された税金その他の貴重な財源でまかなわれるものであることに特に留意し、補助金等が法令及び予算で定めるところに従つて公正かつ効率的に使用されるように努めなければならない。 」という規定がある。

ここでちゃんと「効率的に使いなさい」という法の精神が示されているが、実行段階になると「事業が予定の九割で終わり国に返還しようとしたら『(予算をつけてくれた)大蔵省(当時)に顔向けできない』と怒られた」(日経新聞)といったことになる。これが員数主義である。

我々は遺伝子のどこかにこの「員数主義」を持っているのだろう。これは農耕民族である日本人の宿命なのだろうか?・・・・とも思えてくる。科学的判断ではなく直感的洞察だが。

我々は常に「員数主義に陥っていないか?」と自問する必要があるだろう。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

円高が進む理由

2008年10月23日 | 金融

ユーロの下落が激しい。今朝(10月23日)125円を切っている。9月始め頃は1ユーロ160円だったから22%程下落している。もっとも下落しているというのは、日本円の立場からユーロを見たもので、ユーロの立場から円を見ると22%上昇しているのである。円が上昇しているということは、欧州の投資家は過去の円安(対ユーロで)時に買っておいた円資産(株や債券)を売却すると、為替で大きな利益がでることを意味する。日本の内需株も世界的な株安の中で売られる理由の一つは欧州投資家の為替益出しがあると考えられる。

ところで世界的な金融危機や不況の中でどうして円高が進むのだろうか?新聞等には「安全資産としての円の選好」という表現が見られるが、もう一歩踏み込んで考えてみた。その手がかりになるのは少し前まで「何故マイナー通貨が高かったか?」ということを考えることだ。

ファイナンシャル・タイムズにJohn Authers氏がマイナー通貨が過大評価された理由として次の3つのことを書いている。第1に「コモディティ(原材料や食糧など)価格が急騰していたこと」だ。このため資源国の貿易収支が大幅に改善するので通貨高が想定された。ところがコモディティ価格の下落でこれらの通貨は大幅に下落している。例えば豪ドルは過去1年間(先週終わり頃の概算値)で102.2円から69.9円に32%近く下落している。南アフリカ・ランドは16.9円から9.9円に41%強の下落だ。

第2に「資産価格のボラティリティの急騰」である。ヘッジファンド等は円などの低金利通貨を借りて高金利通貨の資産に投資するキャリートレードを行っていた。キャリートレードで利益を得るには、投資対象資産の価格が安定していることと為替が安定していることだ。しかし世界的な株安で資産の価格の変動幅が大きくなると投資家はキャリートレードを手仕舞う。この時借り入れた円を返済するため、高金利通貨を売って円を買う動きが起こり円高が進む。

第3に「経済の健全性」である。Authers氏は外貨準備や自国通貨建てによる外部負債の程度等を上げているが、私はもっと幅広く以下の点を加えたい。

第一に経済規模である。次に内需・輸出のバランス、輸出産業の幅広さ、国際競争力、対外債務依存度、財政収支等である。財政収支を除けば日本は非常に優秀な国だ。これに較べて高金利通貨国は経済規模やバランス面で問題を抱えている。第二にレバレッジや市場性資金への依存度の低さだろう。欧州の銀行で国家支援を仰ぐようになった先は押しなべて、預金に較べて市場性資金への依存度が高い。日本の預金好きな国民性がプラスに働いたということだろう。

以上のように見てくると「次の円安がくるのはこれらの条件が変わる時」と考えられる。この中で第3の「経済の健全性」とくに経済規模等は急速には変わらない長期的な前提条件である。これにこれに較べて第1のコモディティ価格は一番早く動くだろう。もっともコモディティ価格は世界の経済成長率に強く連動していたので、経済成長が鈍化している間は供給面の大きなストレスがない限り低位安定だろう。また経済と金融が安定するまでキャリートレードが大きく息を吹き返すとは考えにくい。と考えると世界経済が安定して成長過程に向かうまで円高傾向を続くと考えるべきなのかもしれない。

だが持続的な円高は日本の輸出競争力を弱め景気を悪化させる面がある~円高のメリット・ディメリットは別の機会に論じたい~ので、少し円安に戻るという一種のビルトイン・スタビライザー機能が働くかもしれない・・・ことは考慮しておく点だろう。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする