金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

癒しの沢・ナメラ沢を歩いた

2009年08月23日 | 

暑い日が続いたので沢に行きたくなり、日曜日(23日)一人で秩父のナメラ沢に出かけた。朝5時に自宅を車で出発。勝沼から国道140号線を順調に走り、雁坂トンネル料金ゲートの手前で車を止める。歩き始めたのは7時30分、雁坂峠に向かう道は最初はコンクリートの立派な林道だ。30分コンクリートの道を歩くと山道が始まる。山道が始まって数分すると「ナメラ沢入り口」の札が目に入る。

Huda

急な斜面を下ると雁坂峠から流れてきた峠沢に出会う。峠沢にそって2,3分降ったところにナメラ沢は左から合流している。実は5年程前M君とこの沢に来た時、合流点を見落としてはるか下まで沢を下り苦労したことがあった。この教訓が生きて今日はすっきりとナメラ沢に入ることができた。

ナメラ沢に入るとすぐに美しいナメに出会う。

Namerasawa1

この花崗岩の一枚岩の上をサワサワと流れるナメの上をヒタヒタと歩く楽しさ。これが癒しの沢だ。ナメラ沢に手強い滝はないが、目を引く滝というと15m二段の三条滝だ。9時に到着。Sanjyonotaki

下段は右から上段の滝は左から登った。

この後もナメ歩きが続くが、時々倒木が谷を埋め歩きにくい。

9時45分トリカブトの花を見つけた。

Torikabuto

一人の沢歩きは気楽だ。露出を変えたり、ホワイトバランスを変えたりしながら、写真撮影を楽しむことができる。一生懸命写真を撮ったトリカブトだが、雁坂峠からの下山道には沢山咲いていたので少々がっかりした。

ナメを楽しんだナメラ沢だが、標高1900m付近でほぼ水流がなくなった。

これが最後に水を補給した流れだ。

Suigen

ここからは急な涸れた沢をひたすら登る。谷筋の水分があるところには苔が生えている。

Koke

苔は美しい。白樺や樅の疎林の中の苔を踏みしめて登るナメラ沢の源流部はまさに秩父の山そのものだ。沢に道はないが、この沢は遡行する人が多いので、源流部にはかすかな踏み跡がある。その踏み跡と赤いテープや標識布を追いかけていくと稜線に到達した。時刻は12時8分。沢の中では誰にも会わなかったが、稜線で沢登りの格好をしたパーティ1組に出会った。人気の沢と聞くが遡行者はそれ程多くないのだろうか?

午後1時15分雁坂峰到着。

Karisakamine

雲はもう秋だ。

午後1時40分雁坂峠到着。峠には日本三大峠の一つという立て札があった。

Karisakatouge

後で調べたら北アルプスの針の木峠、南アルプスの三伏峠とこの雁坂峠を3大峠という説があるそうだ。もっとも三伏峠の代わりに八ヶ岳の夏沢峠を入れる人もいるというからはっきりしない。

ともあれ雁坂峠から車を止めた料金ゲートまでは標高差8百メートルを越える大降りだ。

林道に下りてから、今日歩いた破風山から雁坂峰の稜線を見ることができた。

Hahuu

林道ではススキが茂っていた。秋は近い。

Susuki

車に戻ったのは3時20分。温泉にも入らず帰路を急いだが、大渋滞に巻き込まれ予定より2時間半位遅れて帰宅した。

癒しの沢登りも帰りのドライブを考えるとストレスを増やしに行っているような気がしてきた。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

どこかおかしい郵便と「ゆうメール」

2009年08月21日 | うんちく・小ネタ

今日友人に登山関係の本を送るため、郵便局に「郵便」を出しに行った。私は時々アマゾンで本を売り、「冊子小包」(旧称、現在はゆうメール)で送っているので、「冊子小包」の方が「郵便」より安いことを知っているが、「添え書き」を入れたので「郵便」とした次第である。ご承知のように「手紙」を小包や宅急便に入れることは、郵便法で禁じられている。

郵便法第4条は「(郵便事業)会社以外の者は、何人も、郵便の業務を業とし、また、会社の行う郵便の業務に従事する場合を除いて、郵便の業務に従事してはならない。」と規定している。

一方以前「小包郵便物」と言われていたものは、2007年の郵政民営化で「宅配便貨物」になってしまった。これにともなって書籍やカタログを送る時使われていた「冊子小包」は「ゆうメール」となったのである。

私が送った本は「第一種定形外郵便」で料金は390円だった。窓口の女性の話では「手紙」と「本」を別々に送ると少し安くなりますという話だ。具体的にいうと「手紙」を第一種郵便物で送ると80円、本を「ゆうパック」で送ると290円なので合計370円となり20円安い訳だ。面倒くさいので分けることはしなかったが。

因みにいうと「ゆうメール」では「信書」は送ることはできないが「内容物に関するかんたんな挨拶状や請求書」は同封可能だ(日本郵政のホームページより)。 http://www.post.japanpost.jp/service/you_mail/soufu.html

従って私の「添え書き」も「信書じゃない。簡単な挨拶状です。」と言い張れば100円安くすることも可能だったかもしれない(面倒なのでごねなかったが)。

しかしどうも変な話である。「手紙」と「ゆうメール」に分けて配達する方が、「定形外郵便物」を一つ配達するよりコストがかかるはずなのに安いとは変な話である。ついでにいうと「ゆうメール」というのも変な名前だ。メールはmailで「郵便物」であり宅配便の意味はない。郵便物でなくなった「ゆうメール」にメールと名前をつけたのは、商品内容の詐称に該当しないだろうか?

郵便法の主旨が「郵便の役務をなるべく安い料金で、あまねく、公平に提供することによつて、公共の福祉を増進することを目的とする。」(法第1条)であることは理解できるし、信書の配達を主目的にする宅配便は今後とも禁止するべきという主張は説得性があると思われる。だが「荷物」の配達を主目的にする宅配便に従として「信書」を同封する位のことは、庶民感覚からするとあってよい話であると思うがどういうものだろうか?日本郵政も宅配便にメールという名前を付けている位だから。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

車買換え補助金の話題、2つ

2009年08月21日 | うんちく・小ネタ

今までエコカー購入補助金については、余り興味がなかった。何故かというと当面今乗っているX-TRAILを買い換える予定がなかったからだ。ところが今日急に事情が変わった。というのは新聞で日産が来春X-TRALのディーゼル車にオートマチック・タイプを導入するという記事を見たからだ。X-TRAILのディーゼル車は買い換えたい車なのだが、今までマニュアル車しかなかったので、オートマチック車のローンチを心待ちにしていたがそれが来たという訳だ。「問題は発売時期だ。エコカー補助金期限の来年3月までに発売されるのかなぁ」と思い、日産の担当者に電話したみた。「発売時期はまだ分かんないのですよ」と担当の人は答え「それにエコカー補助金は、来年3月末日までの新車登録が条件なのですが、国の予算がなくなると終わりです。年末までに予算がなくなるという観測もあります」と付け加えた。「えっ、じゃー新車購入補助金の10万円はまず無理だね」(と少しがっかり)

ところでエコカー補助金の予算がなくなるということでは、米国でドラマチックなことが起きている。昨日米国政府は「ポンコツ車買取プログラム」を今度の月曜日(8月24日)で中止すると発表した。補助金を申請するディーラーは13ページに及ぶ申請書を月曜日の午後8時までに申請しなければならない。

ファイナンシャル・タイムズによると、昨日(木曜日)時点で米運輸省は、既に19億ドルの補助金の申請を受けていると発表している。補助金予算は2週間程前に30億ドルに引き上げられたが、事務処理費用を差し引くと残りは10億ドルというところだ。補助金は買い換える車のエコ度合いで3,500ドルと4,500ドルに分かれるが、平均4,000ドルとして後25万台分の予算が残っているという計算だ。この週末全米のディーラーには買換え客が殺到することになるだろう。見てみたいものである。

オバマ大統領はラジオ・トークショーのインタビューで「この補助金プログラムは誰も予想しない程成功した。そして我々はその成功のちょっとした犠牲者になっている。予想超える買換客の殺到で、ディーラーは申請書の山に圧倒されているからだ」と述べている。

ニューヨーク・タイムズによると、申請を受け付ける運輸省もスタッフを3倍にして、事務処理に当たっているが、7%しか補助金を交付できていない。事務処理が進まないのは、申請書にミスが多過ぎることが大きな要因だと同紙は報じている。

ところでこの補助金プログラムを利用して買い換えられた車は小型車とクロスオーバーで下取りされたのは、SUV、ピックアップ・トラック、ミニバンだ。売れた車の上位3位は、トヨタ・カローラ、ホンダ・シビック、フォード・フォーカスだ。

クロスオーバーというのは、平たくいうと町乗り用の小型SUV。乗用車とSUVがクロスオーバーしたという意味だ。

私が乗っているX-TRAILがクロスオーバーというカテゴリーに入るかどうか分からないし、入っても入らなくてもどっちでも良いことだ。私がX-TRAILに乗っている理由は山とスキーのアプローチ目的である。四輪駆動である程度ロードクリアランスがあり、値段の安いX-TRAILは私の生き方と身の丈にあった車なのだ。内装など走行性能に関係ないところを泣きたくなるほどチープにして(現在のモデルはしらないが)、価格を抑えているところが私のようにビンボーな山屋にはウレシイ車なのである。

今日は個人的なことばっかり書いちゃったけれど、もし読者の中でエコカー補助金を利用したいと考えられている方がいらっしゃれば、早目にディーラーに行く方が良いと思いますよとちょっと役に立ちそうなことを言って終わりにしよう。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

米金融業、社長連は2010年に回復を予想する

2009年08月19日 | 金融

つまらない小話から始めよう。「タープ」(TARP)という言葉を見て、読者の皆さんは何を思うだろうか?私のブログの読者は証券会社など金融機関の方が多いから(素人のブログなんか読んでないで、マーケットを見ていて下さいね。笑)、米国の問題債権買取プログラムのことを思い出す人が多いだろう。だが、たまに立ち寄ってくれる山好きの人は、テントの代用品として使う防水布のことを思い付かれるのではないだろうか?こちらの「タープ」もスペルはTARP。語源はTar(タール)を塗って防水性を出したPall(幕)、つまり防水布のことだ。この防水布を屋根のようにすると簡易なテントができる。スソや両脇が開いているので、尾根筋であまり使えないが、夏の沢登りでは重宝する野営道具だ。

問題債権買取プログラムTroubled Asset Relief Programを命名した人は、防水布のTARPを意識して「金融機関の防水布」という意味をこめて命名したのだろうか?それともたまたまの附合なのだろうか?前者だとすると中々ユーモアのセンスのある命名だが、確かめるすべもないまま時間が足ってしまった。

さてニューヨーク・タイムズによると、会計事務所のKPMGは米国130の金融機関のトップに調査をかけて、業況の回復見通しを調査した。それによると7割のトップが「2009年に業況は底を付け来年は回復に向かう」と回答している。ただし金融機関の業況回復が経済全般の回復に先行するか遅行するかについては意見が半々に分かれている。

調査によると半分以上のトップは、景気の悪化局面で資本調達やオペレーションに必要な資金調達を行うことがより困難だったことを認めている。昨年の金融危機の最中に政府は7千億ドルのTARPを発動させて、金融機関に緊急ファイナンスを行った。

KPMGの調査によると今なお金融機関のトップの最大の懸念は「問題債権の取扱」と「新しい収入源を見つけること」「資本調達」である。またトップ連中は住宅市場安定、消費者信任の改善、雇用創造の兆しを探し求めている。

私見でいうとこの中で一番遅れるのは雇用市場の改善だ。多くの金融機関は他業界と同様雇用削減で収益改善を図っている。そして金融機関のトップ自身金融機関の雇用状況が大きく改善するとは期待していない。金融機関トップの3分の2は雇用削減は終わったと回答し、4分の1は金融機関の雇用は更に悪くなると予想している。来年金融機関の雇用状況が良くなると考えているトップは3割に過ぎない。

金融機関が防水布を払いのけて新しい歩みを始めるには、もう少し時間がかかるということだろうか?

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

民主党の世界観の問題

2009年08月19日 | 政治

昨日(18日)総選挙が告示され30日に投票が行われる。世論調査では民主党が相当リードしている。私も日本の民主主義が発展するためには政権交代の必要があるのではないか?とも考えている。だが今民主党の掲げている政策を見ると目先に人気取りに走り過ぎているといわざるを得ない。例えば「少子化対策」として一人2.6万円の育児手当を支給するという政権公約があるが、どうして高額所得者にまで育児手当を支給する必要があるのか理解に苦しむところである。

だが本当の問題は個別の政策ではない。党が持つ世界観が問題である。今日の日経新聞「大機小機」は「リーダーがどんな世界観や問題意識を持っているかを見極めることが需要になる」と冒頭に述べた後、鳩山由紀夫民主党代表の世界観を批判する。日経新聞は鳩山代表がVoice9月号に発表した「私の政治哲学」http://www.hatoyama.gr.jp/masscomm/090810.htmlの中の一節「グローバルエコノミーが国民経済を破壊し、市場至上主義が社会を破壊してきた過程と言っても過言ではない」を引用して、「より深く思索するリーダーならば、グローバル化や市場機能は唾棄すべきものではなく、繁栄のための武器になりうると考えるのではないか。」と批判している。

なお公平のために言うと「私の政治哲学」を丁寧に読むと、鳩山代表はグローバル化を一概に否定しているとも断言しにくい。鳩山代表は別の箇所で「経済のグローバル化は避けられない時代の現実だ。」と述べ、「グローバル化する経済環境の中で、伝統や文化の基盤としての国あるいは地域の独自性をどう維持していくか。・・・これからの日本にとっても大きな課題である。」と結んでいる。

従って鳩山代表が「グローバルエコノミーが国民経済を破壊し」と言ったのは、グローバル化と構造改革を推進した自民党攻撃の勇み足と取れない訳ではない。

だが問題は民主党の党員や連立政権を目指す連中の中に本気で「グローバル化は悪」と考える人がいるのではないか?と懸念されることだ。

そもそも戦後日本経済が高度成長を遂げ、色々な問題はあるものの、今なお日本が世界有数の経済大国であることの最大の要因は日本がグローバル経済の果実を最大限に享受したからである。もし日本が世界に向かって本気で「グローバルエコノミーが国民経済を破壊した」などというと、狂気の沙汰と思われるだろう。

確かに今日の日本の社会や経済は色々な問題を抱えている。その中には中国、インド等の新興国から安い商品・労働力(アウトソーシングを含めて)が、大量に流入することで日本の非熟練労働力が厳しい競争に晒され、若年層の失業率が高まるなどの問題が起きていることなどが上げられる。しかしこれは歴史の必然なのである。日本の製造業がアメリカ社会を席巻し、多くのメーカーを破綻・廃業に追い込んだように、コストの低い国が先進国市場に進攻することは歴史の止めがたい流れなのである。「先進国のように豊かになりたい」というのは新興国の権利であり、それを止めることはできない。

この潮流の中で私は日本がやるべきことは2つであると考えている。一つは「グローバル化の流れの中で競争力のある分野」を育て、競争に勝ち抜くことである。もう一つは「グローバル化の中で競争に負けた人々」に人間としての尊厳を保ちながら転進する道を作るということだ。

問題は民主党とその同盟軍が、このような世界観を持っているかどうかという点である。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする