今日(7月15日)の日経新聞を読むと「原油高による経営難を背景に約20万隻の漁船が一斉休業・・・国の原油高対策や漁師の収入増などを要望する」という記事がある。
朝日新聞(ネット版)を読むと同じ内容について「東京・日比谷に漁師3600人が集まり漁業経営危機突破全国漁民大会を開き、霞ヶ関などをデモ行進する予定」とある。
ファイナンシャル・タイムズを読むとJapanese fishermen strike over fuel pricesとある。「日本の漁民、原油価格に対してストライキ」ということだ。
「休業」なのか「デモ」なのか「ストライキ」なのかは、この問題に対する新聞各社のスタンスの違いを示していて興味深い。日経は「出漁しても赤字になる可能性があるから、自主休業の動きも出ていた」「今回の一斉休業が小売価格に与える影響は限定的」と淡々としている。つまり消費者サイドへの関心は高いが、漁民の抱える問題に対する切込みが浅い。
FTは「現在1キロリットルあたり11.5万円のA重油が13万円に値上がりすると、3割から4割の漁民が廃業に追い込まれ、5,6万人が失業するだろう」という全漁連のコメントを報じている。またFTは「魚の値段はセリで決まるので、価格転嫁が難しい。90年にはキロ240円だった魚の値段は、昨年178円に下落している」「日本の漁民が廃業する事態になると、日本の魚の自給率は57%から30%に下落すると全漁連は警告する」と報じている。
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漁業に対する政府支援は簡単ではない。燃料代の高騰を政府が補助するということになると、トラック業界やタクシー業界などから不満の声が高まるからだ。だが事態はかなり深刻に見える。新聞の見出しとしては「一斉休業」より「ストライキ」の方が深刻度合いを伝えている気がする。