金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

ソブリン・ファンドのドル売り懸念

2008年07月17日 | 金融

ファイナンシャル・タイムズによると、幾つかの世界最大級のソブリン・ウエルス・ファンドが米ドルのエクスポージャーを削減する動きを取っている。あるアラブのソブリンファンドはドル建の投資を8割から6割に落としている。

中国外貨管理局やカタール投資庁は、ドルのエクスポージャーを落とす方法として、欧州のプライベート・ファンドへの投資を高める方向にある。もっとも中国は1兆6千億ドルの外貨準備の大部分を米ドル債券で保有しているので、下手に動くと市場を混乱させ自らの資産価値を下落させる可能性がある。

これらに動きの背景には、米国の連邦銀行と財務省に対する信頼が低下していることにある。ソブリン・ウエルス・ファンドは米国の銀行の資本増強について主導的な役割を果たしてきた。しかし今のところこの投資は含み損になっている。もしこの上ファニーメイ債やフレディマック債の流動性(換金性)に懸念がでるようなことがあるとソブリン・ファンドに大混乱が起きることは間違いない。

もっともアラブ諸国の動きも一様ではない。クェートは昨年通貨のドルリンクを止めたが、アラブ首長国連邦はドルペグを続けている。アラブ首長国連邦の中のアブダビ投資庁のスタッフはユーロはドルに対してピークを付けているかもしれないと懸念を示している。

これらのことは当然米国の連銀や財務省の頭の中に十分入っている。米国が金融システムと安定とそれによるドルの安定のために、どれだけ痛みに耐えるか言い換えるとどれだけ税金を投入するかが注目されるところだ。

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Die out (イディオム・シリーズ)

2008年07月17日 | 英語

何をイディオム(慣用句)とするかについて、私はオンラインのイディオム辞典に出ているかどうかで決めている。Die outはイディオムという程のものではないと考えられる人もいると思うが、辞書に出ていたのでイディオム・シリーズに入れることにした。Die outの意味は「絶滅する」ということ。Outには「完全に」という意味がある。完全に死ぬから「絶滅」するである。Dry outというと完全に乾かすという意味だ。

ニューヨーク・タイムズにIn Japan,Buddhism, long the religion of funeral, may itself be dying outという見出しで日本の仏教と葬儀の問題を論じている記事があった。この文章の意味は「日本で長年葬儀宗教となっていた仏教自体が死に絶えてしまうかもしれない」という意味だ。どうして仏教が絶滅するかというと、寺院や自宅で葬儀を行う人が減り、セレモニーホールで葬式をする人が増えているからだ。さらにいうと葬式自体をしない人が増えている。

葬儀をしない、あるいは簡単に済ませたいと思う人が増えているということの一つの原因は長生きにあるのではないだろうか?引退して長年経つと知人・友人の数も減り、列席者も減るからだ。又高齢者になると親しい友人の葬儀に欠礼することも止むを得なくなる。

Dieに関するイディオム辞典を見ていたら、I never want to retire, I'd rather die with my boots on.という例文があった。「私は引退することを決して望まない。私はむしろ働いている内に死ぬことを望む」という意味だ。Die with ones boots onとは「アクティブに働いている時に死ぬ」という意味だ。「死ぬまで働く」という文章が英語辞典に載るということは、最近は英米人も働き者になったということだろうか?

日本の仏教が生存の道を探すとすればそれは死者を弔うことから離れて、アクティブに生きようとする者と生きる意味を語る以外にはあるまい。

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