ファニーメイ、Fannie MaeやフレディマックFreddie Macという言葉は、外国証券投資をかじった人間には懐かしい言葉だ。前者の日本語訳は「連邦住宅抵当公庫」、後者は「連邦住宅金融抵当公庫」だ。両者は政府出資はないが、政府系金融機関と呼ばれ高い信用力を誇っていた。野村證券のインターネット証券用語辞典のファニーメイの項目には「連邦政府の公的保証は受けていないが、政府機関債として米国国債に次ぐ、信用力を保持している。」という説明がある。実際昔は米国国債よりは少し利回りが良いく、信用力は極めて高い債券ということで日本の金融機関でも買っていた。
そのファニーメイやフレディマックだが、火曜日に株価が急落した。今年に入ってから両者は時価総額の6割以上を失っているが、更に昨日一日でそれぞれ18%、16%株価が下落した。
ファニーメイのクレジットスプレッドを見ると85bpに上昇している。米国国債に85bpもスプレッドを上乗せするのであれば、もはや米国国債に次ぐ信用力を保持しているとは言えない。野村證券の辞書も書き改める必要がある。
米国議会は今月にも「住宅救済法案」(仮称)を可決するのではないかと予想されているが、それによるとファニーメイやフレディマックは、問題のある住宅ローンを抱えている個人がその住宅ローンをリファイナンスする時に、資金援助をすることが求められそれが毎年数百万ドルに及ぶと考えられている。
また改正法案はもしファニーメイ、フレディマックが破綻した場合、税金で救済する規定が盛り込まれると予想されている。つまり住宅市場の崩壊は最終的には国民の負担に降りかかるということだ。
このような可能性を払いのけるため、バーナンキ議長等はフレディマック、ファニーメイに増資を促したが、株価が下落していて増資が難しい状態だ。
ファニーメイやフレディマックの苦境は米国の住宅市場の深刻さを物語っている。それはアメリカンドリームの終焉の象徴的出来事かもしれない。
アメリカン・ドリームとは「郊外に大きな家を建て、ピックアップトラックのような大型車を~ガソリンの消費を気にせずに~乗り回す」というものだったが、これからの一般アメリカ人はこの夢を見ることは難しくなる。ファニーメイの説明とともにアメリカンドリームの説明も書き改める必要があるだろう。