金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

クライス油田が原油価格の鍵を握る

2008年07月01日 | 社会・経済

先週末久し振りにマイカーにガソリンを入れた。たまたま空に近かったからだ。1リットル165円だった。今日近くのスタンドの看板を見ると180円になっている。ガソリン価格は一体どこでとまるのだろうか?と考えていた時、ニューヨークタイムズ(NT)にクライス油田の記事が出ていたことを思い出した。

クライス油田というのは、サウジアラビアの首都リヤドの90マイル東、砂漠の中の未採掘の大油田だ。サウジアラビアによると推定埋蔵量は270億バレル。これは米国の推定埋蔵量を上回る量だ。クライス油田の開発は進み、2009年6月からは1日120万バレルの採掘が予定されている。NTによるとサウジアラビアがこの油田に投資している資金は100億ドルで、2万8千人の建設関係の人が働いている。

だが、この油田に対して悲観的な見方をするオイルとレーダーやアナリストがいる。彼らの悲観的なビューが、オイル価格上昇に拍車をかけていることは間違いない。

NTによると、サウジアラビアはジャーナリスト団をクライス油田の開発現場に連れて行き、開発状況を説明した。ところがこの中からまた悲観的な見方が出てきた。というのはこの油田では海水をペルシャ湾からパイプラインで引き、油井に流し込んで水圧で原油を汲み出そうとしている。このやり方は採掘の進んだ油田で取り出し難くなった原油を採掘する方法なのだ。このためアナリストの中には、クライス油田について悲観的な見方をするものが出ている。一方サウジ国営の石油会社アラムコは「これは開発技術とロジスティクスの問題で、油田が原油に乏しいからではない」と反論している。

どちらの言い分が正しいかは分からないが、このクライス油田の産油量と埋蔵量に対する見方が、原油価格の動きに大きな影響力を持っているようだ。

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北朝鮮、腹が減っては戦(いくさ)はできんだろう

2008年07月01日 | 国際・政治

最近の北朝鮮の食糧不足の状態はひどいようだ。FTは韓国の人権団体からの情報として「北朝鮮の歩兵将校達は革のベルトを煮て、スープを飲んでいる」と報じている。北朝鮮では過去一般人民は食糧不足で飢えていても、兵士には食糧が行き渡っていたが、将校までベルトを食うようでは、末期的状況というべきではないだろうか?

北朝鮮は米国から国連世界食糧計画を通じて、今週にも3万7千トンの小麦を受け取る予定だ。これは米国が予定している40万トンの食糧援助の一部である。だが昨年の大洪水による収穫不足以来、北朝鮮の食糧事情は極端に悪化していて、数万トンの食糧援助では焼け石に水のようなものだ。

国連の食糧・農業機構が今年の4月に推定した北朝鮮の食糧不足は150万トンである。2001年以降最大の食糧不足だ。米国が北朝鮮の核開発申告の見返りとして、食糧援助を再開すると韓国にも援助再開のプレッシャーがかかるとFTは報じている。

「腹が減ってはいくさはできぬ」という諺どおり、今の北朝鮮の軍隊に戦争を行う力があるとは思わない。嘘か誠か知らないが、北朝鮮の軍隊には、腹を減らしていて革命やクーデターを起こす力もないという話を聞く。従って軍事的な脅威は殆どないはずだが、軍隊が金や食糧欲しさに核兵器やミサイルをテロリストに横流しすると大変だ。これが一番のリスクかもしれない。

北朝鮮の軍隊に少し食糧援助をして、金政権を打倒させるというような謀略は成り立たないものだろうか?

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Go through the roof (イディオム・シリーズ)

2008年07月01日 | 英語

Go through the roofには二つの意味がある。一つは「頭に来る」という意味で、もう一つは「(物の値段などが)急騰する」という意味だ。ものの値段が高騰して、頭にくると覚えておくと両方の意味を覚えることができるだろう。FTにPrices for the two essential raw materials are once again going through the roof.という文章が出ていた。「二つの必須不可欠の原材料の価格が再び急騰している」という意味だ。二つの原材料とは鉄鉱石と石炭。この文章は鉄鉱石と石炭の価格が急騰しているので、韓国の製鉄メーカーPoscoが、オーストラリアの石炭会社マッカーサー社の株を10%と買うというという話の中に出てくる。

「頭にくる」についていうと、Hit the roofというイディオムも同じ意味で使われる。Raise the roofというと「(喜び・怒りなので)大騒ぎをする」「大声で不平をいう」という意味である。

Poscoのディールに話を戻すと、FTはマッカーサー社は高い値段で株を売るようだし、資本にマイノリティ参加しても安く石炭が買える訳でもないから、Poscoにとってそれ程良い話じゃないという趣旨のコメントをつけていた。Poscoにとって後々Raise the roofでなければ良いのだが。

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