金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

世界遺産登録前の富士山にドライブ

2013年05月22日 | 旅行記

今日(5月22日)スバルラインから富士山5合目までマイカーで登ってみた。天気は晴、山麓の気温は26,7度、5合目では17,8度位だった。

来月にも世界文化遺産登録が行われる予定の富士山。私は夏冬何回か登頂しているが、ワイフは5合目に登るのも今日が初めて。比較的空いている遺産登録前、かつ夏山シーズン前の平日に車を走らせてみた。

Fuji2

5合目駐車場には11時半過ぎに到着。神社から土産物売り場に回り、メロンパンを食べた。

5合目終点の駐車場はあまりにゴミゴミしているので、少し下った奥庭まで車で下りて周辺を散策してみた。

Southalps

奥庭の展望台から南アルプス南部の山が見えた。正面が赤石岳、左が聖岳だろうと判断した。喧騒が嫌いな人は5合目終点より、この奥庭を散策するのが良いだろう。小鳥がさえずり、水はけの良い原生林の中を乾いた風が吹き渡る気持ちの良い場所だ。

Karamatu

カラマツが小さな松ぼっくりをつけていた。カラマツに混じって石楠花の木があるが、蕾は固い。花の季節は1ヶ月先だろう。

富士山の世界遺産登録については、ブログでやや辛口の批判を述べたことがあった。主旨は「富士山の良さは世界遺産に登録されようがされまいが変わるものではない。日本人は自国の自然や文化、芸術作品について海外の評価に頼りすぎる。良いものは良い、と自国で判断すれば良い」ということだった。

だがどこか富士山に対して不遜な物言いだったのではないか?と秘かに気にしていたのである。富士山に対する思いは、一般論で語りつくせるものではない。

富士山では昨年12月に私の山登りの先輩が滑落死するという悲しい事故があった。気高く美しい富士山は時に過酷なまでに厳しい顔を見せる。特に冬富士はそうだ。だがそれを厳しいと考えるのは、登山者の勝手な思い込みかもしれない。富士山は常にありのままの顔をみせているのであろう。来るものは拒まず、さりとて迎合もせずである。

私は富士山の神に対して「良いものは良い」などという不遜な物言いを詫びた。富士山を前にする時我々はただその雄々しさ、神々しさに打たれるのみである。

富士山は我々神戸大学山岳部のOBにとって、神々しい山であるとともに悲しみの山となった。だが光り輝く雲海を見ている時、私は山の先輩の魂も今は富士山の懐に安らかに眠っている、と感じた。富士山は我々にとって安らぎの山でもある。

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アベノミクス、海外メデイアが取り上げて株価はピークが近い?

2013年05月22日 | 社会・経済

今(5月22日)発売されている週刊ダイヤモンドは中々面白い。面白いのは「経済ニュースを疑え!」という特集だ。

ダイヤモンドは自戒をこめて次のように述べている。

「経済誌が株価特集を企画すると株価がピークを迎える」。そうやゆされる本誌にもメスをいれた。過去の失敗をざんげすることで、次の100念につなげていく考えだ。(余談ながら「揶揄」や「懺悔」は難しい漢字ですが、ひらがなで書くとピンときませんね。元の記事がひらがななのでそのまま転記しましたが。)

Diamond

当該記事をまだ詳しく読んではいないが、記事の冒頭を飾る表からダイヤモンドの立ち位置を見ると同社は「権力との距離が遠く、速報性は劣るが企画で勝負している」と言いたいのだろう。

経済誌が株特集を組むと株価がピークを迎える、というのは経験的な事実から来た言葉だろうが、私はその責任の総てが経済誌にあるとは考えていない。むしろ本質は「株式」と「株式市場」そのものにある、といえる。つまり株式とは半年程度先の経済見通しを先取りするもので「噂で買って事実で売る」と投機的な投資家は考えているからだ。つまりメディアが腰を据えて「株特集」を組み始める頃は「噂」の段階は通り過ぎ、「事実」の段階、つまりSpeculatorは既に売りに入っている段階だから、株価はピークを迎えるのである。

さて朝テレビ東京のモーニングサテライトでニューヨーク・タイムズがアベノミクスを取り上げていた、と報じていたのでネット版で読んでみた。

記事は「ソニーが5年ぶりに黒字になった」とか「ホンダがF1レースにカムバックする」といった事実を紹介しながら、「用心深い消費者の中にも思いっきり消費を楽しむ人が出はじめた」とつないでいく。原文ではEven some of Japan's wary coosumers are beginning to indulge.

Indulgeは「気ままに振る舞う」とか「(他人を)甘やかす」という意味だが、身の回りを見る限り、アベノミクスのおかげでそのような景気の良い振る舞いをしている人は見かけない。

これはニューヨーク・タイムズの記事が誤っているという訳ではなく、記者がどこを見て記事を書いているか?という問題である。もっとも記者はその辺りは極めて公平で「楽観主義は、ごく一部の株式保有層を含む一部の富裕層に限られている」と報じている。

ただし記事はある退職者が「自分は株を買っていなかった。何人かの友人は株を買っていて、海外旅行に行ったから幸せに見える」と結んでいるから、深読みすると株式投資を薦めていると読めなくもない。

だが「経済誌が株特集を組むと株価がピークを迎える」という経験則から判断すると、ニューヨーク・タイムズのようなクオリティ・ペーパーがアベノミクスを取り上げ始めたら、株価はピークを迎える、と考えるのは自然な流れである。

もっと正確にいうとアベノミクスの3本の矢、「金融緩和」「財政発動」「成長戦略」の内「金融政策」の矢の効果は出尽くし、「財政発動」「成長戦略」は一部織りこみ済だが、具体的成果の評価はかなり先、というところなのだろう。金融緩和については、株価上昇や円安による企業業績見通しの回復が先行し、景気の「気」が良くなったので、安倍政権の支持率は高止まり。一方円安による物価上昇の家計へのダメージはまだ大騒ぎされず(つまりこのあたりが報道スタンスの問題でもあるのだが)。

だが「財政発動」には上昇する国債金利が牽制球をなげる。

また「成長戦略」には、淘汰される側の経済主体の強い抵抗が予想される。最大の課題はここで安倍政権が問題の先送りから脱却し、成長戦略を遂行できるかどうかである。「遂行できる」と判断すれば、日本株はholdで良いが、「出来ない」と判断すれば「株価上昇ピッチが速すぎた」ので、一旦はsellである。その答はクオリティペーパーの中にはなく、自分で探すしかない。

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