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健康の大切さ~事務局長が語る円満な相続とは(2)

2013年10月04日 | うんちく・小ネタ

健康を維持するには、健康を害する要因、例えばストレスを減らす生き方をすれば良い、というのは自明の理である。もっとも「言うは易くして行うは難し」なのだが。

この論法を相続問題に当てはめると、揉め事・争い事が起きている相続の原因や特徴を分析して、争い事の種を未然に防ぐと円満な相続を行うことができることになる。

あるサイトを見ていると相続争いになるベスト3は「相続財産が不動産のみで分割可能な現預金がほとんどない」「一人の相続人が被相続人の介護を行っていた」「被相続人が離婚・再婚を行っていた」と書いてあった。http://www.tokyo-intl.com/article/14930156.html

何が相続争いの原因であるか?といったことを統計学的に分析していくのは、今後の学会の課題だが、ここでは巷間言われている相続争いベスト3を前提に話を進めよう。

まず「相続争いが不動産のみ」というケースによる争いを予防的に避けるには二つの方法がある。一つは被相続人の死亡時に死亡保険金が入るようにしておくことである。もう一つは被相続人が生きている内に不動産を処分しておくことである。無論処分できないケースは多い。例えば事業を行っている場合だ。話は少し飛ぶが私は事業者の相続とそれ以外の人の相続について、適応する法律を変えるべきではないか?という仮説を持っている。つまり事業者の相続の場合は「被相続人の遺言が民法の定める遺留分の規定に優先する」というような特別立法を行っても良いのではないか?と考えて始めている(無論これは学会としての意見とはまったく関係がない)。

話を住宅などのように処分可能な不動産に戻すと、生前に自宅を処分して賃貸住宅に移っておくというのも結果として揉め事を減らす方法の一つだろう。ただし「相続争いをなくすために賃貸住宅に移る」というのでは、まったく主客転倒である。身辺整理を考えて身軽で気軽な生き方を目指した結果、賃貸住宅という選択肢を選び、それが結果として相続争いを防いだという程度の話なのだろう。

二番目の「介護」について予防的に考えると幾つかのことが考えられる。一つは「介護」を受けない老後を目指すことである。と偉そうなことを書いたが、書いている私だって死ぬまで介護状態にならないとは限らない。だがその可能性を低くする方法はある。それは心身とも健康な生き方を送ることである。そのことは専門書に譲るが、多くの本は健康のために運動することを進めている。

運動(手段)、健康(目的)という論法であり、比喩的にいうと仏教における修行(手段)、悟り(目的)という考え方であろう。だが日本の曹洞宗の開祖道元禅師は「修証一如」という言葉で、この考え方を否定された。つまり修行=座禅は悟りのために行うのではなく、座禅をすること=静かで充足した生き方自体が目的だという考え方だ。この論法を運動と健康に当てはめると、体を動かすこと自体が既に健康な生き方ということになる。つまり運動をして健康に生きようと思い体を動かし始めた時人はもう健康になっているという考え方だ。

また健康に一律の基準がある訳ではない。他人から見ると体が不自由そうに見えても本人は至って健康と考える場合もあり、その逆もある。

積極的に生きようとする思いが健康促進につながり、ひいては「要介護期間」を短くし、相続争いを緩和する可能性は高いと私は考えている。ただしこれもまた「相続争い」を防ぐために「運動をし健康を維持する」というのでは話は逆転している。

つまるところ「円満な相続」とは「充実した人生」の投影像なのである、というのが今日の結論だ。

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