昨日(10月18日)の米国株は全体としては小動き。ダウは2.18ポイント(0.01%)下げたが、S&P500は11.61ポイント(0.67%)上昇し、史上最高値を更新した。
個別銘柄では、減収増益のIBMが6%強値を下げ、市場予想を上回る収入をあげたGoogleの株価が8%ほど上昇した。
IBMの第3四半期の売上高は、前年同期比4%減の237.2億ドルだった。IBMは営業利益率は改善しているが、売上の減少から成長性に市場参加者が疑問を感じたのだろう。売上高減少の大きな要因は新興国でのビジネスが伸びなかったことで、その半分は中国の影響と同社は述べている。
一方Googleは、第三四半期の売上高は前年同期比12%上昇して、148.9億ドルだった。ワンクリック当たりの課金は減っているが、クリック数が増えているので大幅な増収となっている。
Googleの強みは、消費者の使う端末が、デスクトップやラップトップからタブレットに変わっても、使い続けられるソフトウエアを提供している点だ。
GoogleとIBMが直接競合する分野は今のところそれほど多くはないと思う。だがCIA向けクラウド業務の入札でIBMがアマゾンに負けたことを考えると、アマゾン、Googleといった巨大サーバを持つ新興企業とIT業界の老舗IBMの競争が激化することは間違いない。
株式市場は業界のある種のtipping point(転換点)を感じ取っているようだ。
比喩的に考えると、巨大化した恐竜が死滅し、当時ネズミサイズだった哺乳類がやがて繁栄できた大きな原因はそのサイズの差にあった。
スーパーザウルスのような巨大草食恐竜は100年から200年ほど生きたと言われているが、ネズミサイズの哺乳類の寿命は数年だった。個体の寿命が短いということは実はそれだけ突然変異による進化のチャンスが多いことを意味する。よって哺乳類は環境変化に対する適応力が恐竜より高かったというのが、生物学の見方だ。
環境変化の激しいIT業界では、規模が大きくないと競争力がでないが、規模が大きくなると革新性が失われる。恐竜になりながら、進化のメカニズムを維持するというのは容易ではない。