WSJ(JapanRealtime)に「伊豆大島の土石流災害の責任の一部はファックスにあった」という記事がでていた。この話は産経ニュース(ネット版)などでも見たのですでに多くの人がご存知だろうが、ファックスの問題を論じるスタート点としてあえてポイントを紹介したい。
WSJによると「当日午後6時5分に気象庁は伊豆大島と三宅島に土石流の危険があるという警戒情報を出し、その情報は東京都庁に伝達された。都庁は両島にファックスで情報を流した。情報を受け取った三宅島では、住民に避難勧告を出した。しかし伊豆大島では1名のガードマンを除き役所の全スタッフが退庁していて、ファックスを見たのは6時間後すなわち深夜に近かった。同町ではその時刻から住民に避難勧告を出すのは危険過ぎると判断した」
WSJは世界トップクラスの高速インターネット網やウェブユーザの数を持っているのに、日本の役所や企業はいまだに1970年台後半から80年台前半に導入されたファックスに非常に依存していると述べていた。
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この問題はおそらく今後当日伊豆大島の町長が宴席に出ていた(週刊誌の見出しネタ)こととともに議論の対象になるだろう。
さてファックス依存というと、来月日本相続学会の研究大会でもファックスは大いに頼りにされている。その仕組は次のとおりだ。
1.参加希望者は取引銀行から研究大会用の銀行口座に参加料を送金する。
2.参加希望者は送金依頼書の控え(受取証)を指定の申込書(ファックス用紙)に添付し、大会事務局にファックスする。
3.大会事務局は受信したファックスと銀行口座を突合し、参加者リストを作成する。
4.大会事務局は参加票を作成し、参加者に郵送する。
なお大会事務局のファックスはバーチャルなFAX機(通信会社のサービスを利用)で、送られてくるファックスは直接FAX機からプリントアウトされるのではなく、電子メールで手元のパソコンに入ってくるのである。
つまり入り口はファックス、中継はインターネット、アウトプットはイメージ(PDF)の印刷ということである。
入り口を電子メールにして、メールに受取証を添付して(あるいは送金銀行・送金日・金額など記入して)送るようにすれば簡単なはずなのだが、参加希望者は電子メールよりファックスを選好するという話だ。
これは学会メンバーの中心がアナログ系といわれる60前後のオジサンが多いことによるのだろう。
だが本当に60前後のオジサンがアナログ系か?というと必ずしもそうではないという見方もある。インターネットを活用して、買い物をしたり列車の予約をする人が多いのもこの世代だ。
ひょっとすると「インターネットでしか申し込みできません」という位の高め球を投げても良かったのではないか?と考えているところである。