金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

ついにアメリカ最大の問題は、政治の機能不全に

2013年10月11日 | ニュース

昨日(10月10日)の米国では、短期間の国債発行上限枠の合意が得られデフォルトは避けられそうだ、という見通しがたったことから株価は急伸した。おそらく東京市場が開いている間により具体的な眺望が見える可能性がある。

最悪のデフォルトは避けられると思うが、アメリカの政治が失ったものは大きい。アメリカの政治が失ったものとは何か?というとそれは国民の信頼。過去の世論調査からすでに多くのアメリカ人が余り議会に信頼を置いていないことは明らかであるが、ギャラップが10月9日に発表した調査結果によると、アメリカ人が今一番問題だと感じていることは「景気」や「失業問題」ではなく、「政治の機能不全」になった。

今では33%のアメリカ人が政治の機能不全がアメリカ最大の問題だ、と考えている。これは「経済が最大の問題」と考える人19%、「失業が最大の問題」と考える人12%、「財政赤字が最大の問題」と考える人12%、「ヘルスケアが最大の問題」と考える人12%を抜いてダントツのトップになった。

政治の機能不全を最大の問題とした人の比率(33%)はギャラップが1939年に調査を初めて最高レベルだ。

今年はじめの「財政の崖」問題の時は、2割弱の人が政治の機能不全を一番大きな問題にしていたが、当時の最大の問題は経済全般だと思われていた。それから約半年。今や政治の機能不全がトップに躍り出て、先月は8%の人がアメリカ最大の問題と考えていたシリアは今や1%に後退した。

経済全般が半年前より良くなったから、政治の機能不全が一番の問題に踊りでたのか、解決の糸口が見えない政治のねじれ現象にアメリカ人がフラストレーションを高めたのかその原因はもう少し分析してみる必要がある。

だがアメリカの政治の機能不全はじわりと世界の安全保障の機能不全につながる可能性がある。

政治の機能不全が相場のボラティリティを高め、時として大きな利益を得る人がでる(当然大きな損失を被る人もいる)ように、外交の舞台でもこれを機会に大きな利益を得ようと目論んでいる国がある、と考えるとアメリカの政治の機能不全は安全保障にマイナスの影響を与える可能性大である。

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当面のデフォルト回避見込みで米株ラリー

2013年10月11日 | 金融

昨日(10月10日)米国では、下院共和党が12月までの短期的な債務上限引き上げを提案し、デフォルトが回避されるだろうという見方が広がり、米国株は今年1月以来最大の上げ幅を記録した。ダウは323.09ポイント(2.18%)上昇し、15,126.07ポイントへ。S&P500も2.18%上昇した。為替は80銭ほど円安にふれて98円台前半で取引されている。

だが冷ややかな見方をすると、オバマ大統領が共和党の提案を受け入れて、広範な予算討議に応じるとしても、問題がたかだか数週間先送りされただけという意見もある。

今年1月の株価のスパイクは、財政の崖問題が解決した後にやってきた。年末年始にかけて同じような問題が繰り返すとなると多少うんざりするが、市場のボラティリティが収益チャンスを提供してくれたのも事実。取引コストが安いパッシブ運用商品(S&P500ETFなど)を使いながら、こまめに収益を稼ぐことはできた。

長期投資というと、買ったら買ったで持ちっぱなし、と考える人がいるかもしれないが、私は長期的にはロング(買い持ち)でも、相場に波がある限り、その波を利用して長期的にポートフォリオの質を高める努力はするべきだろうと考えている。

つまり上がり過ぎと思えば少し売り、売られすぎだと思うと少し買う、ということだ。それを機械的に行うのがリバランスという考え方だ。自分でやるのが面倒だという人はきちんとリバランスを行うバランスファンドに投資するのも一つの方法だ。

心理的不安感は後退して今日の東京では日経平均は200ポイントほど上昇して始まるだろう。

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