昨日(10月10日)の米国では、短期間の国債発行上限枠の合意が得られデフォルトは避けられそうだ、という見通しがたったことから株価は急伸した。おそらく東京市場が開いている間により具体的な眺望が見える可能性がある。
最悪のデフォルトは避けられると思うが、アメリカの政治が失ったものは大きい。アメリカの政治が失ったものとは何か?というとそれは国民の信頼。過去の世論調査からすでに多くのアメリカ人が余り議会に信頼を置いていないことは明らかであるが、ギャラップが10月9日に発表した調査結果によると、アメリカ人が今一番問題だと感じていることは「景気」や「失業問題」ではなく、「政治の機能不全」になった。
今では33%のアメリカ人が政治の機能不全がアメリカ最大の問題だ、と考えている。これは「経済が最大の問題」と考える人19%、「失業が最大の問題」と考える人12%、「財政赤字が最大の問題」と考える人12%、「ヘルスケアが最大の問題」と考える人12%を抜いてダントツのトップになった。
政治の機能不全を最大の問題とした人の比率(33%)はギャラップが1939年に調査を初めて最高レベルだ。
今年はじめの「財政の崖」問題の時は、2割弱の人が政治の機能不全を一番大きな問題にしていたが、当時の最大の問題は経済全般だと思われていた。それから約半年。今や政治の機能不全がトップに躍り出て、先月は8%の人がアメリカ最大の問題と考えていたシリアは今や1%に後退した。
経済全般が半年前より良くなったから、政治の機能不全が一番の問題に踊りでたのか、解決の糸口が見えない政治のねじれ現象にアメリカ人がフラストレーションを高めたのかその原因はもう少し分析してみる必要がある。
だがアメリカの政治の機能不全はじわりと世界の安全保障の機能不全につながる可能性がある。
政治の機能不全が相場のボラティリティを高め、時として大きな利益を得る人がでる(当然大きな損失を被る人もいる)ように、外交の舞台でもこれを機会に大きな利益を得ようと目論んでいる国がある、と考えるとアメリカの政治の機能不全は安全保障にマイナスの影響を与える可能性大である。