約1週間後に迫る米国国債がデフォルトを起こす可能性。実質的なリスクは高くないというのが、プロの判断だろうが、米国最大のマネー・マーケット投信運用会社のフィデリティは、10月下旬から11月上旬に期日を迎える米国債を保有していないことを昨日明らかにした。
フィデリティのような機関投資家の売り圧力で今月はじめにはほとんどゼロに近かった1ヶ月ものの短期国債の利回りは0.3%にまで上昇している。
このような動きの中、債券ファンドの巨人ピムコを率いるビル・グロス氏はwe're buying what Fidelity is sellingと述べ、期近物国債を保有し続ける方針を明らかにした。
もっともこのことはピムコとフィデリティの米国債デフォルトの可能性に対する見方が違うことを必ずしも意味しない。運用方針の違いはファンドの性格の違いから来る。マネー・マーケット・ファンドでは、デフォルトが起きると、直ちに当該債券の簿価下げを行う必要があり、短期資金のきわめて安全な預け先として利用している投資家に与える影響が大きいが、ピムコが運用する債券ファンドでは、ごく短期的な価格変動は吸収できると判断している訳だ。
もしあなたの資金がピムコ型であれば、ここはバタバタせずに買い場だと腹をくくるのも一つの手だろう。資産運用とは短期的な市場変動による苦痛に耐えながら、長期的なリターンを狙うゲームだから。
だがそのような苦痛には耐えられない、あるいは投資の時間的地平線はそれほど長くないと考える人にはフィデリティ型があうだろう。