金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

バフェット、中国の株高を警告

2007年10月27日 | 株式

一昨日10年程前一緒に国際業務をやっていたY君が名古屋から戻ってきたので、一杯やりながら往時を懐かしんだ。Y君は中国語研修生を経て、北京に駐在したこともある中国通だ。彼の話によると、最近の中国の様変わりぶりは凄く、しばらく暮らしたことのある北京ですら見間違うという。しかし彼は「変わらないのは中国人の人間性ですよ」という。共産主義革命を経験しようが、毛思想を叩き込まれようが中国人の拝金的思考は変わらない。中国といえば、FTによると米国の著名な投資家ウォーレン・バフェット氏は中国の大連を訪問中にスピーチでと投資家に中国の株高を警告した。中国の株高については香港の著名な実業家・李嘉誠Lika-shingやグリーンスパン氏が警告を発しているが、バフェット氏も彼らの仲間に入った訳だ。

バフェット氏はこのスピーチの1週間程前に保有していたペトロチャイナ株を全額売却した。同氏は「ペトロチャイナの株は2003年に購入した。その時の同社の株価は企業価値の1/3から1/4だった。株価は7倍に上昇したがこれは現在の企業価値を越えている」という。

「我々は株価が急騰している時は決してその株を買わない」「我々が株を買うのはその会社の成長性に自信があるからだ」とバフェット氏は言う。我々凡人は株価が上がりだすと、その株を買いたくなり、株価が下がりだすとその株を売りたくなる。それが性(さが)というもので洋の東西に共通するのだろう。多くの中国人個人投資家もその仲間であろう。バフェット氏の言葉は貴重だが、その実践は簡単ではない。それ故彼は大金持ちになったのでり、皆がバフェット氏と同じことが出来ると世の中金持ちだらけであろう。

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日本の食糧は大丈夫か?

2007年10月25日 | 社会・経済

食糧問題について昨日二つの記事を読んだ。一つは日経新聞に出ていた「政府が備蓄米も買い増しを検討している」という記事だ。6月末で77万トンある備蓄米を100万トンに積み増すというもので、3百億円を超える支出になる。この政策はコメ価格の下支えを狙ったものだが、専門家の間では備蓄米を積み増してもコメ価格の下落傾向に歯止めはかからないということだ。

もう一つの記事はFTが国連食糧農業機構FOAFood and Agriculture Organization)の発表などを引用しながら世界的な食糧危機に対する警告を発している。世界的な食糧価格の上昇と日本のコメ価格の下落は一見矛盾するように見えるが、日本のコメ価格が世界の米の価格の6倍位高いことを知れば、二つのことに矛盾は感じない。穀物類は投資の世界では「普及品」という意味でコモディティの一つに分類されるが、日本のコメは特殊すぎてコモディティには入らないだろう。

さてFTの記事の概要を紹介しよう。先週「世界食糧の日」があったが、国連によると世界中で854百間人の人が栄養失調で苦境にあえいでいる。

いきなり話は赤福に飛ぶけれど私は「赤福が賞味期限をごまかして、出荷したことは悪いけれどそれ程大騒ぎすることではない。多少賞味期限が切れた位で大切な食べ物を捨てるとしたらそれは世界レベルで見ると大変な浪費でかつ富める国の奢りではないか?」と考えている。そもそも賞味期限切れの赤福を食べて腹痛を起こした人がいるのだろうか?

FTによると1970年代以降で初めて世界レベルで食糧不足が問題になってくるという。食糧価格の上昇は顕著だ。小麦とミルクの値段は史上最高値となっているし、大豆に価格は90年代の平均価格を超えた。コメとコーヒーの価格は10年振りの高値を付けた。また肉の値段は幾つかの国で5割方上昇している。

食糧価格の上昇の原因は、オーストラリアの旱魃などという一時的な要因もあるが、構造的には豊かになった中国とインドがよりタンパク質を求めていることと、バイオ燃料の影響である。FOAはこれらの構造的変化により農産物価格は向こう10年の間に過去10年に比べ20%から50%上昇すると予想している。食糧価格の上昇は貧困国に大きな影響を与える。それは貧困国ほど消費に占める食料費の割合が高いからだ。ニジェールなどサブサハラ地域では食料費は消費支出の6割を占めるが中国では3割で米国では1割だ。

食糧の輸出国はマクロ経済ベースやビジネスベースで見ると、楽であるが消費者レベルでは被害がある。イタリアはマカロニの原料であるデュラム小麦の半分を輸入に頼っているが、パスタの値段が高騰したのでデモが起きた。食糧輸出国は次第に食糧の輸出制限に動くようになっている。12月に国会選挙を向かえるロシアではプーチン大統領が食糧価格の高騰に言及し、政府は小麦、大麦の輸出に関税をかける措置を導入した。

同時に食糧輸入国は食糧の増産策と備蓄策を模索し始めた。

ところで農産物アナリストの中には今日の農産物価格の上昇は部分的には米国と欧州に責任があるというものがいる。それは米国と欧州が農産物に多額の補助金を出してきたため、それ以外の国が競争力を失い、農業への投資が低水準だったからだ。その結果世界的に食糧の需給が崩れると先進国は高い食料を輸入せざるを得ないことになる。ゴールドマンのコモディティ調査のヘッドは「米国と欧州はかっては農業デフレの輸出国だったが、今や彼らは農業インフレを輸出している」という。

話を元に戻して日本の農業政策を考えてみよう。先の参議院選挙で大敗を喫した政府は農民の機嫌を取るため、余剰のコメを買うという。だがこれがこれからかなり長い間続くことが予想される世界的な食糧不足時代に有効な手段なのだろうか?

有効な手段は日本の農業生産性を高めるような投資を行うことであり、既に世界の水準より6倍も高いコメの価格を維持することではないはずだ。円安が持続すると食糧自給率の低い日本には痛手になる。円安は一部の輸出企業に大きなメリットを与えたが、コモディティ価格が上昇すると日本経済に大きな足かせとなる。

この重要な転換期に日本の政治家は対処できるのだろうか?

日本の株価は世界の主な市場から全く取り残されているが、世界の投資家達は忍び寄るコモディティインフレが日本に与えるネガティブな影響を早くも感じているのだろうか?

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日本はビルマで二度負ける?

2007年10月23日 | 社会・経済

FTによるとインドと中国は第二次大戦時に援蒋ルートとして建設されたレド・ロード別名スティルウエル・ロードをまもなく再開させるということだ。レド・ルートというのは、インドのアッサム州レドから中国の昆明を結ぶ道路で、日本軍に物資輸入を封鎖された中国に連合軍が物資を送るため建設したものである。蒋介石Chiang Kai Shekが建設を指揮した米国の将軍スティルウエルの名前を付けることを薦め、スティルウエル・ロードとなった。建設に携った米兵は15千人、現地人は35千人で11百人の米兵が工事中に死亡する(恐らくそれ以上の現地人が死亡)という難工事だった。

中国とインドは現在ミヤンマーの軍事政権が民主化運動に対して弾圧政策を取っていることについて非難することを避けている。その大きな理由の一つがビルマ経由でインドと中国の間に高速道路を建設することにある。このために両国はミヤンマーと友好関係を維持したい訳だ。道路建設はインド側が遅れているが、FTによると来年3月までに2車線の高速道路を完成させる予定だ。インド政府は長年北東部の暴動に苦しめられてきたが、経済発展が政情安定化の王道と考えてこの地域をミヤンマー経由で外部に結びつけることに力を入れている。インドのアイヤールAiyar北東地区担当大臣は「第二次大戦で連合軍がスティルウエル援蒋ルートを開通させて日本を負かした様に、現在の経済競争で我々はスティルウエル道路を再開して日本を再び打ち負かすことが可能ではないか?」という。

なおインド北東部にとってより重要な輸送ルートはカラダン河を経由してミヤンマーの港町シットウに結びつけるルートであるが、スティルウエル道路は歴史的な背景があったので話題になったということだろう。

インドのアイヤール大臣が言うように、インド北東地区が活性化するとやがて日本にとって脅威になる日が来るかもしれないが、私はこれを大いに歓迎したい。経済発展は紛争地区に争うことより生産性を高める方が幸せに近づく道であることを教えてくれる。日本は建設機械の輸出などを通じてこの地域の発展に貢献すれば良い。お互いの反映は勝ち負けの彼岸にある。

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分かり易さへの逃避

2007年10月23日 | うんちく・小ネタ

21日のFTに「分かり易さへの逃避」A flight yo simplicityという記事が出ていた。この言葉は「質への逃避」Flight to qualityをもじったものに他ならないが、現在の欧米の投資家の心理を言い当てているのでひょっとすると流行るかもしれない。要はリスクの所在とその量を把握できない投資家達はストラクチャード・ファイナンスで作られた金融商品を忌避してもっとシンプルで伝統的な商品へ回帰しているという話だ。本筋の話は別途するとして、周辺の雑談をしよう。

そもそも単純さとか率直さは本来米国人が最も愛する徳性である。GEの元会長のジャック・ウエルチがこのような言葉を述べている。Tough  minded people are always simple. Insecured manageres create complexity. Tough mindedとは「現実的な」あるいは「意志が強い」よいう意味だ。つまり現実的で意志が強い人々は常にシンプル単純である。自信のない管理者は物事を複雑にするという意味だ。

FTの記事によると、ストラクチャード・ファイナンス・セクターが拡大し始めたのは今世紀初めであり、その時はヘッジファンド、その他のプロフェッショナルな投資家、投資銀行マンが市場を占有していた。この投資銀行マンというのが数学で博士号を取る位出来る奴で実際高給を貰っている。

信用収縮が起きた後9月の始め英国のダーリング蔵相は「銀行は伝統的な融資業務へ回帰しろ」という呼び掛けを行い、市場関係者からは冷たい目で見られていた。しかし実際のところ、投資家達は投資案件の複雑さに耐える寛容さをなくしているので信用が一層収縮するという現象がおきている。

ある米国の大手銀行の固定利付債の責任者は「今起きていることは『単純さへの逃避』で、投資家達は不透明過ぎると思われるものや、『モーゲージ(不動産抵当)』という言葉が付いているものには触れたがらない」と言っている。

確かにストラクチャード・ファイナンスを中心に複雑な商品が販売され、多くの投資家が食傷気味になっていることは事実だろう。

ストラクチャー物の多少の利回りの良さを放棄して、シンプルな商品に投資することは暫くの間流行するだろう。このことは株式や債券の市場では、一般大衆に名前の浸透した企業が歓迎されるということだ。一方ストラクチャー物で資金を調達してきたInvestment grade以下の企業にとっては資金調達が苦しくなる。

サブプライムローンの影響は「分かり易さへの回帰」を通じて、大企業にフォローの風を送ることになるようだ。

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秋の日は有楽町でタイ料理

2007年10月21日 | まち歩き

今日(10月21日)ワイフと最近有楽町にオープンしたマロニエ・ゲートの中のジム・トンプソンにランチを食べに行く。写真はこのレストランのパンフレットに載っていたものをコピーしたものだ。ただし昼のメニューは1,800円のバイキングで写真ほど豪華なものではない。

Jimtompson054

ところでジム・トンプソンというのは1906年に米国で生まれた男で1950年代にタイシルク産業を再生させた事業家である。タイを代表するネクタイの銘柄だからご存知の向きを多いだろう。レストランのパンフレットには「(バンコクの)ジム・トンプソンの家のすぐそばには彼の名前を貰ったレストランがあり・・・」とある。ただし今年の春先バンコクに旅行した時は行かなかった。日本語のガイドブックに出ていなかった故である。

さて有楽町はマロニエゲートのジム・トンプソンに話は戻るが、ビルがオープンした午前10時半過ぎにレストランの前に到着したが、既に10人以上先客が順番待ちをしていた。ほぼ全員が女性。ジム・トンプソンはランチの予約は受け付けないので並ぶ必要がある。私達も20分以上並んで開店直後に入場。しかしここから又待つのだ。レストランはバイキング方式だが、料理を並べているカウンターが狭いので順番待ちが出来てしまう。結局15分程待って漸く食べ始めることができた。

料理の内容は香草とスパイスを効かせた鶏肉料理が多い。デザートにはケーキが3,4種類とココナツミルクがあった。飛びぬけて美味しいという程ではないが、この内容・この場所を考えるとリーズナブルだろう。ただし休日の昼は混むこと間違いなしだ。マロニエゲートには中華料理、ベトナム料理、シンガポール料理などエスニックなお店が入っているが、ジム・トンプソンが圧倒的に混んでいた。ジム・トンプソンの名前が特に女性にアピールするのだろう。

昼食の後ウインドーショッピングをしに、丸の内通りに回った。写真を撮っている人だかりがあるのでのぞいて見ると、作品展で優勝したイングリッシュガーデンを歩道に展示してあった。

Enggarden

草木の種類は違うが豊かな緑がジム・トンプソンのタイの家の回りを飾っていたのだろうと私はふっと思い写真を撮った。

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