金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

中国の領海侵犯を駆り立てる漁船団

2021年04月22日 | ニュース
 中国の船舶が領海侵犯を犯しているというニュースはしばしば目にする。領海侵犯が起きているのは尖閣列島を中心とする日本の海域だけではない。東南アジアはもとよりアフリカや南米でも起きている。
 なぜ中国は領海侵犯を繰り返すのか?
 WSJはChina's Fishing Fleet, the world largest,drives Beijing's global ambitions「世界最大の中国の漁船団が中国政府の世界的野心を駆り立てる」という記事でその理由を解説していた。
記事の趣旨に解説を加えてみよう。
  • トランスポンダ(航空機・船舶などの自動応答装置)や世界の登録船舶データの分析によると、中国の遠洋漁業船舶約17,000隻が世界中で魚を捕獲しまくっている。海外水域における漁獲量のシェアは中国が38%で断トツ、2位が台湾で22%、日本・韓国が各10%で3位、5番目がスペイン9.8%、6位アメリカ3.3%となっている。
  • 中国外務省は法的に登録されている遠洋漁業船舶は2019年時点で2,701隻だと言っている。また中国政府はWHOの勧告に従い遠洋漁業船舶への補助金を削減し船舶数を3,000隻に抑えることに同意している。
  • 記事によると台湾と韓国の遠洋漁業船舶の合計隻数は2,500である。漁獲シェアは中国38%で台湾+韓国が32%なので中国の遠洋漁業船舶が17,000隻というのはいかにも多い。シェアから推定すれば3,000隻が妥当なのだがこの違いはどこから来るのだろうか?
  • 2013年に日本船舶工業会が発表している「中国における漁船建造業の現状と展望に関する基礎調査」によると中国が保有する総漁船数は107万隻で世界の漁船保有量の1/4を占めていた。ただし遠洋漁業船舶は1,587隻にすぎなかった。
  • この2つのデータから私は次のように推測している。
遠洋漁業は中国の一帯一路政策の重要な部分を担っている。つまり経済発展のおかげで中国では中産階級が急増し、海産物の需要が急増した。中国政府は食の確保の観点から遠洋漁業を後押しする政策を打ち出したため、遠洋漁業向けに建造された船舶以外の漁船が大量に世界にでかけ底引き網など荒っぽい方法で魚を獲りまくり、現地の漁獲規制などに従わないため様々な問題を引き起こしている。
 中国に「食は広州にあり」という諺がある。広州の食つまり広東料理は海鮮料理が多い。北京料理というと餃子で四川料理というと麻婆豆腐という肉ベースの料理なのだが少し豊かになると海鮮料理を好むようになるということなのだろう。
 これはまったく確証のない勝手な推測だが中国政府は漁船団に「海洋資源の確保のために少々荒っぽく暴れてくれ。中国政府が後押しするから」という程度のことは言っているのではないだろうか?
 歴史を紐解けば、エリザベス一世は海賊フランシス・ドレークを使嗾してスペイン船を略奪しまくったというからあり得ない話ではないと思う。
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コロナワクチンは3度目が必要、そして毎年接種が必要かも。

2021年04月22日 | ニュース
 CNBCにファイザー社と一緒にコロナワクチンを開発したバイオンテックBioNTech社の最高医学責任者のDr.Ozlem Tureciが「コロナワクチンについては時間の経過とともに免疫力が低下するので2度の接種に加えて3度目の接種が必要になるだろう。またインフルエンザワクチンのように毎年接種する必要がでるだろう」とCNBCに語った。
 これは既に同様のコメントを発表しているファイザー社のCEOアルバート・ブーラのコメントと軌を一にするものだった。
 日本のワクチン体制も毎年接種するということを前提に注射をする人(医師+α)や接種記録の共有方法を含めて考え直す必要がある。
 いずれにせよこれまでの枠組みを根本的に見直す必要があることは間違いない。
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コロナ対症療法対応にうんざり

2021年04月21日 | ニュース
 今日(4月21日)兵庫県が緊急事態宣言要請をを決めた。これで政府は23日に一連の手続きを行い東京・大阪・兵庫の3都府県に緊急事態宣言を行うことがはっきりした。なお京都も発令を政府に要請する方向で調整しているようなので京都も含まれるかもしれない。
 しかし狼少年の話ではないが、度重なる緊急事態宣言にはうんざりする。なぜうんざりするか?というと政府があまりにも対症療法的対応を取っているからである。
 感染拡大防止と経済活動の停滞のバランスを見ながら、緊急事態宣言をしばしば発令するということなのだろうが、緊急事態宣言は時間稼ぎに過ぎない。時間を稼いでいる間により根本的な対策を実行する必要があるのだ。より根本的な対策とは今のところワクチンの早期接種である。さらには病床の効率的運用という行政が取り組むべき課題もある。
 菅首相が訪米中にファイザーのCEOとワクチン供給について電話会談をしたそうだが、一体何を交渉したのだろうか?そもそも交渉というのは対等の立場で行うもので単なるお願いとは違う。ファイザー社に対して日本が何かレバレッジ(交渉材料)を持っていたのだろうか?疑問である。
 本来一国の首相が交渉するべきことかどうかも疑問だが、もし交渉するのであれば日本でライセンス生産を開始し、日本のみならずアジア全体のワクチン製造拠点を作るため、資源を投入するから行程表を作ってくれという位のことは言ったのだろうか?
 アメリカでもイギリスでも緊急事態宣言より重いロックダウンが行われてきたが今や出口が見えつつあるようだ。少なくとも多くの市民が出口は遠くないと感じ始めている。だから消費が上向いているのだ。
 薬剤師がワクチン接種注射を行うアメリカとは、そもそも感染症対策の取り組み姿勢が異なるので同じ日に話することはできない。
 しかしもし心ある政治家が「感染症は今回のコロナウイルスだけではない。将来の感染症対策に備えて、医療体制を抜本的に見直す契機にしよう。そうすれば大規模地震や富士山の爆発にも備えることができるではないか」と少し目線をあげた考え方を示せないものだろうか?と思う。
 どこの国でもコロナ対策は対症療法的だと思うが、日本の場合は余りにも酷過ぎる。政治は結局我々市民に「欲しがりません。勝つまでは」いや違った「欲しがりません。ファイザー様にお願いしたワクチンが普及するまでは」という辛抱をしいているだけなのである。
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景気の回復に雇用は追いつけないかもしれない

2021年04月20日 | 投資
 エコノミストという連中は先のことを語るのが好きだ。というのかそれが商売なのだ。因みに投資家も先を見るのが好きだ。株式相場は大体半年先の動きを見ているという。
 昨日(4月19日)の米国株は少し値を下げたがこれは先週インデックスが新高値を更新したことの反動や決算発表待ちが原因なので気にするほどのことはないだろう。どんな強いマーケットにも気迷いからくる下落はあり、どんな弱い相場にも底値買いの先走りから反発はあるものだ。
 ということで少し米国の景気と雇用について少し先のことを考えてみよう。
 たまたまWSJにEconomic Growth is set to surge. Hiring might not keep up.という記事がでていた。経済成長は急伸する準備が整っているが雇用増は追いつかないかもしれないという趣旨だ。
 アメリカではワクチン接種の拡大に伴って、消費者がレストラン、ホテル、ヘアサロンなどに足を向け始めている。WSJの調査によると今年の第4四半期ベースで予想するとGDPは6.4%増加する。これはアウトプットをコロナ以前に較べて4%近く増やすことになる。一方労働力については今年12月までに7.1百万人増加する見込みだがコロナ前に較べると1.6%少ないと予想される。
 雇用が経済成長に合わせて急速に伸びない理由は次のようなものだ。
 まず企業は消費需要の回復が持続するかどうかを確認するまで雇用を増やしたくないと考えていることだ。
 第二に一旦仕事を辞めた人が再び雇用されるには時間がかかるということだ。
 消費需要の回復の持続性については、コロナウイルス禍で構造的に変化した需要構造を見極める必要がある。たとえばビジネス出張については恐らくコロナ以前の水準にフルに戻ることはないだろう。人々はかなりのことがリモートワークでできることを体感したからだ。
 経済の急回復に雇用が追いつかないとサービス価格の上昇など様々な問題が起きる。たとえばレストランは給与を引き上げて人手を確保しようとして、コストアップはメニュー価格の引き上げにつながる。
 これからしばらくの間アメリカの経済指標は「景気回復と雇用回復のずれ」を意識しながら見ていく必要があると感じた次第だ。
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JR東日本eチケットを始めて利用してみる

2021年04月20日 | 旅行
 所用で1週間後に山形に出かけることになった。通常「大人の休日倶楽部」を使って3割引で乗車券等を購入するのだが、GWにつながるこの時期は休日倶楽部の割引は使えない。
 そこで「えきねっと」の「トクだ値」割引を使って特急券・乗車券を購入した。
 これがeチケットになっている。写真はスマートフォンの画面をコピーしたものだ。

グーグルで大宮⇔山形の乗車券・特急券料金を調べてみると11,350円なので2,170円得になっている。割引率は19%を超える。「トクだ値」割引は15%だからチケットレスの割引を含んでいるのだ。
 さてこのJR東日本のeチケット、使い勝手はどうだろうか?
 まだ予約しただけで実際に乗車していないので改札口をスッと通過できるかどうか多少気にはなる。たとえば在来線切符の回収と新幹線乗車がスムーズに行くかどうかなどだ。
 もっともそれより気になるのは「予約の変更」だ。予約の変更については「えきねっとWebサイト」から行うことになっているのでログインに一手間かかる。東海道新幹線のエクスプレス予約はもっと簡単なのに・・・
もっともJR東日本は今年の夏に「えきねっと」を刷新し、大人の休日倶楽部割引切符などもeチケットサービスで購入できるようにすると言っているので、その時には予約の変更手続きも簡単になることを期待している。
 少しずつだが身の回りでDXが進んでいることを感じる。
 
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