ユキノシタは田舎の家の裏庭にも咲いていました。雨が降ると水が滲むような石の間に生える。
周囲は陰気だけど、花はスッキリと明るい。
上3つの花びらは小さくて、赤とピンクがきれい。メシベが黄色で、下に2枚長く伸びた花びらは純白。色の取り合わせは結構、派手です。
命名に関しては、2枚長く伸びた白い花びらを「雪の舌」と呼んだという説があるようですが、どうなんでしょう? 牧野富太郎博士は、花の白さを雪に喩え、その下に緑色の葉がのぞくさまを言い表していると言っているようです。
葉っぱは薬用。小さい頃、揉んで火傷に押し付けたような記憶があります。
葉に毛が生えていますが、天麩羅にして食べることも可。確か、裏側だけにコロモをつけて揚げたような。
昨日、聴いた、小さん・談志・小三治の鼎談で、小三治さんが談志さんに「兄(あに)さんは、なぜ、師匠のところに弟子入りしたんです?」と訊いてました。
家元は、「何か、阿弥陀さんの声のようなものが言ってきたんだろう」と煙に巻いていましたが、確か、著書のどれかに、芸が上手くて清潔だったから、と書いていたように思います。入門当時、噺なら志ん生がいちばんと思っていたが、そちらに行く気はなかった、とも。
たぶん「清潔」というところが決め手だったんでしょうね。人柄の良さに惹かれたのだと思います。
それでも、まあ、よく喧嘩はしたらしい。談志さんはああいう人柄だし、小さん師匠も、「小三治」の名を与えなかったのは「おまえは了見がよくなかったからだ」と、鼎談でも言ったりしてます。互いにズケズケ言い合ってたんでしょう。
『談志楽屋噺』(白夜書房、1987)には、ある年の新年会で取っ組み合いの喧嘩をしたことが書いてあります。
- ……ヘッドロックで師匠の頭を締めたが、あの通り丸い頭だから締めにくい。うしろから師匠の内儀さんが私の背中をけっとばしていた。美しい夫婦愛だ。
そんなことをやったり、言ったりしても、互いに認め合い、気遣っていたんですよねぇ。美しい師弟愛だ。