惑星ダルの日常(goo版)

(森下一仁の近況です。タイトルをはじめ、ほとんどの写真は交差法で立体視できます)

「生き抜ける」

2015-05-06 21:07:18 | ことば

 最初に目にしたのは「生き抜けろ!」という命令形でした。半月ほど前だったかな。
 「生き抜けろ」――どうにも、座りの悪い言葉だと感じたのですが、この頃では、それほどにも思わなくなってしまいました。慣れてしまったのか。それとも、言葉への感度が鈍ったのか。

 

 終止形は「生き抜ける」。

 この意味なら、私は「生き抜く」というべきだと思ったのです。命令形なら「生き抜け!」。
 「生き抜ける」だと「生き抜けられる(生き抜くことができる)」のら抜き言葉のように感じられます。

 

 でも、ネットであちこち見てみると、かなり普通に「生き抜ける」といわれているみたい。たとえばこんな感じ

 「駆け抜ける」というような言葉に影響を受けて、「生き抜く」が「生き抜ける」になったのでしょうか。もっとも、逆に、「駆け抜く」とはいいませんが。
 「勝ち抜く」を「勝ち抜ける」ということもあるみたいです(→こんな具合に)。

 

 「抜く」は文語的に感じられるのでしょうかねぇ。それで「抜ける」とした方が馴染みやすいのかも。
 日本語は変わってゆきます。

 

 今日の談志師匠のCDタイムは「お化け長屋」。
 なんとこのCDセットで3度目の登場です。家元はこの噺が好きだったのでしょうか。
 長屋を借りに来るのが、幽霊怖い人と、怖くない人なんですが、2人の対比は今日の高座がいちばんはっきりしています。受け取る人の態度によって、怪談話をする杢兵衛さんの調子が変わって聞こえるのが、面白い。幽霊への恐怖が相対化されるんですね。幽霊はいる、とマクラで言う師匠ですが、でも、怖がっててもしょうがない、というのが本音だったのかもしれません。