2,3日前ワールド・ビジネス・サテライトを見ているとリース業界で経営統合や買収が活発化しているという報道があった。
その背景には「リース会計基準の変更」や「金利上昇」があるとテレビは説明していた。リース会計基準の変更といっても関心のない人が多いだろうから、細かい説明は省略するが、要は一定規模以上の企業が長期(償却年限程度)にわたって製造機械等の固定資産のリースを受ける場合は、バランスシートに載せなさいという会計上の要請である。これは欧米では一般的な会計慣行で、こうしないと資金を借入れて設備を購入する企業とリースで設備をまかなう企業の自己資本比率などに差を生じ、投資家をミスリードするからである。
金利上昇の話も省略して、テレビや新聞が報道していない背景を述べよう。それは「団塊の世代」の退職を中心とする人員問題だと私は考えている。
金融機関や商社はリース会社を設立してきたが、それはリース実需をつかみ収益を上げるという面のみならず、OBを処遇する器という面があった。バブル崩壊後リストラに苦しむ銀行の中にはリース会社へ出向・転籍させるという方策を取ったところもある様だ。
ところが、ここに来て金融機関を取り巻く雇用環境が劇的に変化している。一つは規制緩和に伴い銀行が販売する投信や変額保険等の金融商品が飛躍的に増えたため、その販売要員が必要になり、メガバンクを中心に積極的に増員を図っていることだ。M&Aや証券化で一歩先を行く外資系投資銀行が増員を図っていることも大きい。
このためリース会社からメガバンクにトラバーユする人も増え、リース業界も人材確保のニーズが高まっている様だ。
又団塊の世代が退職する後は、しばらく金融機関の退職者が減少する。これは第二次オイルショック後採用を絞った昭和50年代前半の人がこれから退職を迎えるからだ。
以上のような雇用環境がリース業界の統合の一つの背景であると私は見ている。この話を某格付機関の人と雑談の中で出したら「云々」と頷いていたので、プロの目からも見ても説得力のある話ではないかと私は感じているが、どうだろうか?