今の日本の株式市場を見ていると、今月下旬の参院選挙の行方に余り反応していない様な気がしてならない。新聞等が報じるところであれば、自民党のかなりの敗北が予想されるが、これは素直に見ると株式市場にはマイナス要因と思うのだが、今のところこの材料に余り反応していない様に見えて仕方がない。
ファイナンシャルタイムズなど海外の一流紙も自民党の敗北が市場に与える影響をまだ本格的に論じていない様だ。むしろ日本の株式市場はバーナンキ連銀議長の議会証言やアメリカの個人住宅の販売具合に一喜一憂しているのである。
本来安倍政権の敗北は小泉内閣以来進めてきたネオアメリカ型資本主義に国民が一定のブレーキを求めたことを意味し、改革の後退につながり企業収益にはネガティブな影響を与えるはずだ。それなのにどうして株式市場は余り反応しないのだろうか?
考えられる一つの理由は、日本の政治そのものが国民の信頼を失っているということが考えられる。自民党が勝とうが民主党が勝とうが余り変わらないという変な諦観。それよりもアメリカの住宅販売や中国の株価の方が気になるということでは、日本の政治は軽すぎのではないだろうか?
その責任は例えば財政赤字等この国が抱える難問に毅然たる取り組み姿勢を示さない政治家にあると言える。つまり選挙に勝つことだけを考えた政治家の空論に国民はうんざりしているという訳だ。そしてその頭のどこかに「どうせ徹底的に悪くなれば、また外圧で抜本策をとることになるさ」などという考えがあるとしたら、まことに恐ろしいことである。
ひょっとすると与党の敗北を予想して下落する相場の方が、与党の敗北を予想しても下落しない相場より健全なのかもしれない。