今日新聞を見たら柳沢厚生大臣が「年金記録不備対策費に年金保険料を使わない」と発言していた。しかしこれ程国民を愚弄した発言はない。
年金記録不備を修復するには少な目に見積もっても、数百億円から一千億円の費用がかかる。その金が年金保険料でまかなわれないなら、誰がまかなうのであろうか?それは税金で賄われるのである。そもそも我々国民にとってそれが年金保険料であれ、税金であれ我々の負担であることには変わりはない。給料袋を見ると「控除」項目の中で厚生年金保険と所得税は直ぐ近くに並んでいる。
また年金の支給は保険料だけで賄われている訳ではなく、税金も使われている。つまり国民にとっても国にとっても、税金だの保険料だのと区別する必要はあまりない。いずれにせよそれは所得を再配分する機能なのである。
柳沢大臣の様に子供だましのような説明で、人を丸め込むことを「朝三暮四」という。
朝三暮四は中国の故事だ。昔宋の国に狙公(そうこう)という猿好きな男がいた。あんまり沢山の猿を飼い過ぎ、餌代に困ってきたので狙公は猿達に「これからは餌を朝3つ夜4つにする」と言ったところ猿達は怒り出した。そこで狙公は猿達に「分かった。それでは餌は朝4つ夜3つにする」というと猿達は納得した。
目先のことしか分からない猿は朝の餌が増えたので納得したのである。もし柳沢大臣が自分の説明で国民が納得するとでも思っていたら、国民を狙公の猿程度に見ていることになる。これ程人を愚弄した話はないのである。