参院選挙まで一週間を残すところとなった。新聞は程度の差こそあれ自民党の大敗を予測しているが、その背景を分析したものは少ない。安倍内閣の不人気が自民党の支持率低下を招いている様だが、それは年金が問題なのかあるいは閣僚の辞任(含む自殺)が相次ぐという現政権の閣僚やそれを任命した首相の資質が問題なのか?あるいは政治経済改革から後退することが問題なのか?・・・・というところが良く見えないのである。
というような問題意識を持ってファイナンシャルタイムズ(FT)を読んでいたところ、欧米でグローバリゼーションと格差の問題に関する世論調査結果が出ていた。その結果のポイントは後程紹介するが、要は格差拡大について欧米でも批判が高まっているのである。
これを敷衍して考えるに、自民党の支持率低下の背景にはグローバリゼーションと格差拡大について有効な具体策を立てない現政権への批判があると見るべきだろう。
ということでFTの世論調査のポイントを紹介しよう。
- 「グローバリゼーションがあなたの国にポジティブまたはネガティブな影響を与えたか?」という質問に対して、ドイツを除く5カ国(英国、フランス、スペイン、イタリア、米国)ではネガティブという回答の方がポジティブという回答より多い。なお一番多いのは「分からん」という答だが。
- 「社会的背景に関わらず総ての人々が潜在的能力を実現する平等な機会に恵まれているか?」という質問に対して一番肯定的な米国でも、イエスという人の割合は4割強で、約半分の人はノーと言っている。フランス・イタリア・スペインでイエスという人は2割に満たなく、8割の人はノーと言っている。
- 「国は企業のトップの報酬に上限を設けるべきか?」という質問に対して、英国・フランス・イタリア・スペインで6割の人がイエスと言っている。ドイツではイエスが5割、一番低い米国でも3割強の人がイエスと言っている。
またFTによると英米国民の多くが富裕層への課税強化を支持している。
日本はこの世論調査の対象になっていないが、日本の世論もこれらの傾向を持っていることは容易に推測される。FTは「不平等が発生している問題は総ての国で高い政治的議題になっている。それは2008年の米国選挙を特徴付けるものになるだろう」と結んでいる。
日本の参院選挙で国民が期待している本当の論点は「格差是正にどう取り組むか?」ということに尽きるのかもしれない。そしてそれに具体的で見える回答を示すことが出来ない政党の人気が下落しているということなのだろうか?