金曜日の夜少し飲んでから帰宅する時、山手線で品川まで乗り過ごしてしまった。神田から山手線に乗り池袋で同僚と別れ高田馬場で降りる予定だったが、池袋-高田馬場の僅か二駅の間に寝入ってしまった次第だ。
品川駅で小腹が空いたので、冷たい蕎麦を食べた。これがシコシコして中々美味しかった。品川駅の新幹線口寄りにはecute品川というワンランク上のショッピング・レストラン街があり、ここは実家に帰る時のみやげ物選びなどにちょくちょく利用している。ちょっと気に入っている空間だ。それ故か意図せざる時まで品川駅に引き寄せられる傾向があり、この日もつい蕎麦を食うはめになった次第だ。
品川駅構内には蕎麦の他すし屋などもあり大変流行っている。大変成功しているエキナカの活用例だろう。
このちょいと食べるというのが、日本の文化だと私は考えている。ことの起こりは江戸だ。金回りの良かった江戸の職人さん達は体を資本と考えて、日頃栄養の良いものを食べていたと聞く。当時は病気になるとたいした治療法もないので、日頃から健康を維持しておくことが肝要だったのだ。そこで小腹が空くと寿司や蕎麦などを食べていたのである。
海外でもこれ程駅周辺でちょい食べ文化が発達しているところは多くないだろう。ニューヨークのグランドセントラルには有名なオイスターバーがあるがレパートリーではも品川駅に及ぶまい。そのオイスターバーも駅ビルのアトレ4階に入っている(まだ行ったことはないが)ので、品川駅の充実振りは大変なものだ。
私はこのちょい食べ文化は日本が世界に誇ることができるものの一つだと考えているが、問題がない訳ではない。江戸の職人さんは栄養を取って健康維持に努めたが、我々は「上がりの蕎麦やラーメン」で余計なカロリーを蓄積することが問題になっている。偉大な文化を継承することは中々大変なことである。