金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

キプロスの預金の1/4はロシアのお金

2013年03月19日 | 投資

昨日(3月18日)の東京市場を揺さぶったキプロスの銀行預金に対する課税問題は、米国の株式市場も揺さぶり、ダウは62ポイント(0.43%)ダウン。ただし日経平均が340ポイント2.7%下落したことに較べると下げ幅は遥かに小さい。これは米国経済の強さに対する信頼がキプロスに端を発するユーロ危機の再燃に歯止めをかけた、と見ることができる。また今回の預金者課税案が今後の欧州の銀行の救済のスタンダードになると、考えるよりはキプロスの特殊ケースとする判断が増えてきたのではないか?と私は考えている。

キプロスの銀行預金の特殊性は、預金残高に占める海外からの預金、特にロシアからの資金が多いことだ。昨年末のキプロスの銀行預金残高648億ユーロ(8兆円弱)の内41%が海外からの預金で、ロシアからの預金は154億ドルで総預金残高の約24%だ。

ロシアからの預金には合法的な預金もあるが、資金洗浄を目的とした不法な預金もあると言われている。キプロスの銀行は預金受け入れ時に資金源について厳しい質問をしなかったので、マネーロンダリングを目的とする筋には使い勝手が良かったのだ。

ロシアマネーなど10万ユーロを超す大口預金については9.9%の一時的な課税を行うという先週末の合意案について、ロシアのプーチン首相は「不公平で、非専門的(職業倫理に反する)で、危険な方法だ」と非難している。

だがドイツなどは自国民の税金を使ってロシアの富裕層の非合法預金を救済するいわれはないとハードポジションを取っている。

このような背景を踏まえて、キプロスの預金者課税が先例になるかそれとも特殊ケースと市場が判断するかが、相場の見どころだ。取り敢えず今日の東京市場は昨日の下落の半分程度は戻すだろうが、注目は人口113万人広さは四国の半分程度の島国に集まっている。

コメント (2)
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