金融そして時々山

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どこまで悪化する中国の大気汚染

2013年03月22日 | ニュース

時々新聞を賑わす中国の大気汚染問題。中国だけで完結すれば、放っておいても良いが、風下の日本も影響を受けるとなると人ごとではない。

新華社通信によると、東京都の猪瀬知事が中国にPM2.5対策に技術支援を申し出たそうだが、中国側からは何の返事もない、ということである。中国は政権交代で忙しくそれどころでないのかもしれない。

中国の大気汚染問題については、かなり前から中国環境保護局などが問題としていた。

私も2007年夏に「戦死よりも多い中国人の公害死」というブログhttp://blog.goo.ne.jp/sawanoshijin/d/20070703で毎年75万人の中国人が公害で死亡しているという話を紹介したことがある。これは中国環境保護局と世界銀行の共同研究によるものだから、デタラメな数字ではないはずだ。中国政府の中にも環境問題に警鐘を鳴らす人はいるが、公害対策が進まないのは、内部抗争によるところが大きい。

ニューヨーク・タイムズNTは「幾つかの部署が公害対策の規制を強めても、国営企業特に中国石油(チャイナオイル)や電力会社が健康よりも利益を優先して抜け道を使うので、尻抜けになっている」と報じていた。

2月にドイツ銀行が発表した資料によると、中国の乗用車の数は現在の90百万台から2030年までには400百万台に増加すると予想され、大気汚染はますます激しくなるというから恐ろしい。

NYによると中国政府はPM2.5の原因の22%は自動車の排ガスで40%は北京市内・郊外の工場が燃やす石炭によると発表している。

中国の自動車メーカーも対策を立てていない訳ではない。自動車メーカーは排ガス削減技術をサポートしているが、問題は使われる燃料の質だ。たとえば中国の精製会社は長年にわたって軽油の改善を怠ってきたため、中国の軽油に含まれる硫黄分は米国のそれの23倍だという。

人口の桁が違う中国では年間に地方都市一つ分位の公害による死者がでても政府は有効な対策を打てないのである。恐ろしい話ではないか。

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