金融そして時々山

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中国はいつ北朝鮮を見捨てるか?

2013年03月10日 | 国際・政治

先週国連安全保障理事会は3度目の核実験を行った北朝鮮に対して、制裁強化を決定した。これは北朝鮮向け貨物検査の強化などを内容とするものだ。

今回の制裁には中国も同意したが、中国の楊外相は先週土曜日の記者会見で「中国は国連の制裁決議を支持するがそれは外交政策の変更を意味するものではない。中国は制裁ではなく対話こそが北朝鮮の核兵器を廃棄させる最善の方法だと信じている」と述べた。

そこで疑われるのが北朝鮮制裁に関する「中国の本気度」だ。今中国ではこの問題についてかってないほど政府高官やアナリストの間で率直な意見が交換されている。それは煎じ詰めると「北朝鮮をともに朝鮮戦争を戦い多くの血を流した盟友」と考えるか、「核兵器を持つ手に負えない暴れ者」とみるかという意見の対立だ。少し前までは前者の見方が圧倒的だった、と思う。だがここに来て後者の見方が勢いを得ている。

後者を代表する考え方を中共中央党学校の機関誌China studyの副編集長Deng Yuwen氏がFTに起稿していた。このような意見が世界に発信されることは中国共産党幹部が北朝鮮を見捨てることを視野に入れはじめている、と考えて良いだろう。

Deng氏のChina shuold abandon North Korea「中国は北朝鮮を見捨てるべきだ」の主旨は次の通りだ。

  • イデオロギーを基礎とした国家関係は危険である。中国と北朝鮮はともに社会主義であるが、その違いは中国と西欧諸国との違いより大きい。
  • 北朝鮮を政治地政学的な観点から戦略上重要と考えることは時代遅れである。もし米国が北朝鮮の核兵器開発を米国の安全保障に対する非常に強い危機と考え、先制攻撃をする場合、中国は「同盟国」として北朝鮮を助ける義務はないのか?もしあるとすれば中国はバッファーを残しておくべきである。
  • 北朝鮮が改革し、世界に向かって国を開くということはないだろう。仮に金正恩が個人的にそうしようと思っても、党の反対に合う。改革を進めようとすると政権は転覆される。なぜ中国は遅かれ早かれ破綻する国家や政権と関係を維持しようとするのか?
  • 北朝鮮は中国から離れつつある。
  • もし北朝鮮が核兵器を開発したとすると、北朝鮮はそれをもって中国に脅しをかける可能性を排除することはできない。

Deng氏は最後に中国が平壌に見切りをつける最良の方法は、韓国との統合を推進することで、次善の策は北朝鮮に親中国政権を樹立して、核兵器を放棄させ、普通の国に向かわせることだと述べている。

このような意見が世界に向けて発表されているということは、中国共産党が「中国はイデオロギーベースではなく、現実的判断で幾つかの選択肢を検討している」というメッセージを送っていると考えられるだろう。

どのような形かは分からないが、金政権が崩壊する日はそう遠くはないような予感がする・・・・

コメント
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