私は本を次の4つのカテゴリーに分けて選んでいる。
第一は「急いで読みたい本でかつ長く手元に置くと思われる本」だ。学術的な文献、パソコンのプログラム解説本、lonely planetのような海外旅行ガイドブックなどである。
第二は「急いで読みたいけれど、長くは手元に置かないと思われる本」だ。ハウツー物、経済書や講演・書物の参考にするセミ専門書の類だ。
第三は「安く手に入れて、ゆっくり読む本」だ。小説、エッセー、山の本などの類だ。
第四は「図書館で見つけて、時間がある時(たとえばスポーツクラブで自転車を漕いでいる時)に読む」本である。
第一と第二の本はアマゾンで買うことが多い。第二の本はアマゾンで買うと同時に古本としてアマゾンに出品することが多い。旬の本は早く売りに出す方が高く売れるのである。また売りに出す本はカバーをかけて汚れないようにする。一方第一の本は使いやすいようにバンバン書き込みをする。
第三の本はアマゾンかブックオフで入手。第四の本は駅前の図書館で見つけることが多い。
さて前置きが長くなったが、少し前に図書館で見つけたのが「山歩きのオキテ」(工藤隆雄著 新潮文庫 500円)である。登山家・岩崎元郎さんの解説によると著者は「山ヤで、その人ありと名を知られるには、ハードな登山の実績が必要である。・・・・工藤隆雄さんは、ハードな登山の実績ではなく「文章を書く」という地味な努力の積み重ねで、登山会に指定席を確保された稀有な例のお一人であると思う」というような人だ。
あえて私のコメントを付すと、登山者として有名になっている人は3タイプである。一つは言うまでもなく価値あるクライミングを続けた人だ。植村直己さん、長谷川恒男さんら多くの人は帰らぬ人となったが。
第二は他の分野で有名になってその後山歩きを初めて山の世界でも有名になった人だ。市毛良枝さんとかみなみらんぼうさんが該当する。
そして最後が工藤さんのような例だが非常に少ない。
さてこの「山歩きのオキテ」だが、これから山登りを始める!という人にはかなり参考になるし、少し山を歩いた人でも装備の見直しの時など参考になるところがある、と思う。
共感したのは次のような箇所だ。
「ちなみになるべくワンランク上の製品を購入した方が良いのは次の通りだ。登山靴、雨具、下着、ズボン、ザックなど。逆にあえて購入せずに手持ちの物で済ませるようにしたらよいと思われるの次のとおりだ。上衣、帽子、着替え、手袋、防寒具など。『要するに命に関わる部分には金を使い、そうでないところは日頃、使っている物でカバーするのが上手なやり方だ』と山小屋の主人たちはアドバイスする」(第Ⅳ章 山の道具に関して)
若干コメントを付すと工藤さんは夏山を前提に話を進めているので、上衣、帽子、手袋、防寒具を手持ちの物で済ませたら?と示唆しいているが、雪山を前提に考えるとこれらのグッズが命に関わる重要なアイテムということで話が全く違ってくる。
いや揚げ足を取っている訳ではない。自分が行く山を前提に自分なりの装備を考えてみる、という視点は非常に大事だ、という点で私は共感している。
それがコマーシャリズムに踊らせない自律的な登山の第一歩なのだ。ということで山好きな人は図書館で借りて、お読みになると他にも幾つか共感するところを見つけると思う。