金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

シェアリング・エコノミーは日本でも普及するか?

2013年03月14日 | 社会・経済

シェアリング・エコノミー Shareing economy、日本語に訳すと共有型経済。インターネットの情報力を使いながら、消費者が相対でモノを貸し借りする仕組みで、欧米で拡大している。

最近のエコノミスト誌にThe rise of the sharing economyという記事がでていた。記事をざっと読んで見つけたキーワードは二つ。一つはWhat is mine is yours, for a feeと、peer to-peer rentalだ。

前者は「私のものはあなたのもの、賃料を払えば」という意味だ。「私のものはあなたのもの」という言葉は聖書に出てくる言葉だ。聖書の中で何ヶ所か出てくると思うが、すぐ思いつくのはルカ伝の中の放蕩息子の話だ。今日の本題から離れるが放蕩息子の話は、「相続」に関係する話としても興味深いので粗筋を述べよう。

ある人に二人の息子がいた。弟の方が父親に(相続する)財産を(生前に)分けてくれ頼み、もらった財産を蕩尽してしまった。やがて疲弊した次男が帰ってきた時、父は次男を抱きしめ、肥えた子牛を屠り祝宴を始めた。これを見て長男は怒る。「お父さん、私はあなたに何年も使えたのに、友達との宴会では子ヤギ一匹くれなかった。なのに放蕩した弟が帰ってくると牛を屠って歓迎する」

父は長男にいう。お前はいつも私と一緒だ。私のものはお前のものだ。だが弟は死んでいた。死んでいた弟が生き返ってのだから祝宴をするのだ。

Peer to peerというのはコンピュータの接続に関する用語で、1対1でコンピュータを接続することをいう。

さて記事によると、個人住宅をゲストルームとして旅行者に提供するサービスを仲介しているAirbnb →日本語のサイト https://www.airbnb.jp/ を使って宿泊した人は発足した2008年以降4百万人に達する。これは非常に成功している例だが、シェアリング・エコノミーは、自動車やボートなどその他の資産に広がっている。日本でカーシェアリングというと、オリックスやタイムズプラスのような業者が行うカーシェアリングを思い浮かべるが、米国にはRelayrides https://relayrides.com/という個人所有の車のレンタルを仲介するサイトがある。

米国でかなりもてはやされだしたシェアリング・エコノミーだが、米国では拡大するという見方が多い。それは人々がモノを所有することよりも使うことに重点を置き、使わないつまり不稼働な資産を活用して少しでもフィーを稼ぐことに意味を見出したこと、そしてインターネットの活用により簡単に取引相手を見つけることができるようになったことが大きい。

では日本でシェアリング・エコノミーが拡大するか?というと少し時間はかかるかもしれないが、拡大する方にbetしたいと私は思う。その理由の一つは日本は江戸時代からレンタル経済が盛んだったことだ。江戸時代のレンタル屋は損料屋といい、長屋住まいの町人に夜具や様々な生活用具をレンタルしていた。

読み終えた本をアマゾンなどで売り出すのも、広い意味ではシェアリング・エコノミーだろう。まあ、一般的にはシェアリング・エコノミーは貸出型を指す方が多いだろうが、リサイクリング型も広い意味では共有型経済の一つのパターンだ。

お金を払ってモノを借りることは、自分にも貸し手にもプラス、という意識が社会に共有される日がくるとシェアリング・エコノミーは急拡大する可能性を秘めている。

コメント
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