金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

草食系で良い。時として悍馬となれるなら。

2010年05月07日 | うんちく・小ネタ

昨日(5月6日)夜NHKの「日本の、これから草食系でなにが悪い 若者とかたる日本の未来」という討論番組を見た。

酒、女性、車、ブランド品、海外旅行などに関心が薄くなった若い男性を草食系という言い方がマスコミで流行ってきたのは2年前位から。

番組は「身の丈にあった暮らしをする草食系で何が悪いの?」という若者と「仕事に意欲を燃やし積極的に海外進出を目指すような人材が育たないと日本は競争力を失う」という中高年者との討論だった。

気になった点は番組が「一昔前の日本人=会社人間=組織内上昇志向=アフターファイブは会社の人と飲み会」「今の若者=自分の生活中心=仕事より趣味=アフターファイブは宅飲み、スィーツ食べ、音楽など色々」とステレオタイプ化している点だ。

私の人生観からいうと、「仕事への熱意や組織内の上昇志向」と「趣味や社外の人との付き合い」というものは対立するものではなく、十分並存可能なものなのだ。今流行りの言葉でいうと「ワークライフバランス」だ。

私はこのことについて「人生は四本柱が重要」と以前から考えてきた。四本柱とは「職業人としての自分」「家庭人としての自分」「市民としての自分」「一個人としての自分」だ。「一個人としての自分」とは宗教などの精神的活動や趣味の世界を指す。

このように人生を複合的にとらえないで、会社人間か趣味人間かという二元論的な思考に陥っても発展はない。

ところで「草食動物=おとなしい」というイメージから、おとなしそうな男性を草食系と呼ぶようになったのだろうが、草食動物は本当におとなしいのだろうか?確かにウサギなど小動物は概しておとなしい。しかしアフリカの大草原を大群で疾走するシマウマやヌーは猛々しい。大型草食獣の大群の前ではライオンを尻尾をまいて逃げる。

また草食系の動物は多産だ。沢山子供を生んで元気で強いものだけが生き残り、足が遅い子供は肉食動物の餌食になる。

草食動物とはかくのごとく逞しいものなのである。

若い人に言いたい。会社にのめり込む必要なんかない。のめり込んで上司のご機嫌を取ったところで組織の階段を少し上まで登ることができるかどうか保証はない。

趣味などの自分の生活を大事にすることは良いことだ。だがやるならある程度のレベルに達するまでやって欲しい。現状満足で過ごすには人生は余りに長いからだ。

アフターファイブの飲み会なんか参加しなくて良い。ちゃんと給料に見合う仕事をしていれば卑下することは何もない。

草食系で良いではないか?草食動物は弱いだけのものではない。己や己の子供を守る時にはライオンにも立ち向かう強い動物だ。必要な時に悍馬になる気概があれば、草食系大いに結構と私は考えている。

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ドルは少し買ってみたがユーロは読めず

2010年05月07日 | 金融

昨日の世界的な株安で急速な円高が進んだので少しドルを買ってみた。米国の景気は悪くないのでドルは対円でいずれ反発するというスペキュレーションだ。

しかしユーロについては分からない。少なくとも私にはユーロがこのレベルから対ドル・対円で反発するのかどうかは分からない。

確かに悪い材料が多い中幾つかの良い材料はある。昨日ギリシアの議会は172対121で厳しい緊縮財政案を可決した。これで1100億ユーロのEU、IFMからの支援融資の条件は整った。しかし抗議のデモが続いている。

また欧州中銀のトリシェ総裁は中銀によるギリシア国債購入の件は政策委員会の話題にも出なかったと述べて、中銀の危機対策を期待していた投資家をがっかりさせた。

スペインは235億ユーロの5年債の起債を行ったが、上乗せプレミアムは1ヶ月前に較べて72bpだ(出来上がりは3.53%)。

スペインについては債務のリストラかIMFの支援を受けざるを得なくなる可能性があると警告するアナリストもいるから、高いプレミアムを求められた訳だ。またポルトガルも6ヶ月短期国債のオークションで前回に較べて4倍近いプレミアムを払わされた。

だがFTによると、何人かのアナリストはスペインとポルトガルの国債売り出しの中にポジティブな兆候を見いだしている。というのは高いプレミアムを求められるものの、ギリシアと異なり資本市場からの調達が可能だからだ。

スペイン国債の入札比率は2.35倍で前回の1.76倍より高い。またポルトガル国債の応札も多かったとFTは報じている。

FTは「スペインは前回より多くのプレミアムを払わされたが、もしもっと国債を売り出したとしても市場は吸収可能だったろう」というモニュメント証券のアナリストの言葉を紹介している。

来週はイタリア、ドイツ、オランダなどが国債の売り出しを行う。市場はこれらの国の国債の入札状況を注目している。ユーロが落ち着くかどうかを見極めるにはまだ時間がかかりそうだと私は考えている。

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欧州委員会のバルニエ委員、格付機関に疑問を投げる

2010年05月07日 | 音楽

欧州委員会のファイナンシャル・サービス・コミッショナーのミッシェル・バルニエ氏が、初めての米国公式訪問を前に記者会見で格付機関に対する疑問を投げかけたとニューヨーク・タイムズは報じている。

バルニエ委員は米国でバーナンキ連銀議長、ガイトナー財務長官、ゴールドマンザックスのブランクフェインCEOらと会談する予定だが、ムーディーズがポルトガルをクレジット・ウオッチに置いたことに対して、米国の格付機関が欧州諸国の格付を行っていることに不満を示した。

先月S&Pがギリシア国債をジャンク・ボンドに格下したことについて欧州諸国のデフォルトリスクを正確に評定しているのかという不満の声が欧州委員会から上がっているが、バルニエ氏の意見はその延長線にあるものだ。同氏は格付機関が少な過ぎてかつ競争がないことが問題だと指摘したが、既存の格付機関を代替するような格付機関が民間の機関か公的機関であるかは今後の課題だと述べている。

ところで格付機関の知能程度についてピムコのビル・グロス氏が次のようなことを書いていた。

「格付機関は知能指数160だが、常識指数(Common Sense Quotient)は60である」

ビル・グロス氏は「投資にはティースプーンほどの高度な知識とテーブルスプーンほどの常識が必要だ」と述べている。テーブルスプーンの方がティースプーンより大きいから、高度な知識より常識の方が大事ということだ。もっとも彼の格付機関批判は、格付機関が財政状況の悪い国のソブリン債務に高い格付をつけていることを批判する文脈の中で述べられていたから、彼がギリシアなどのダウングレードをどう評価しているかは知らないが。

これから格付機関を巡る議論が高まりそうだ。だが格付という作業が将来の債務不履行の可能性を予測するという作業である限り完全なものはあり得ない。過去は必ずしも将来を語らないからだ。

投資家はグロス氏の述べるとおり、常識を高めるしかないのだろう。もっともグロス氏の常識はとてつもなく大きいと思うが。

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