昨日(5月6日)夜NHKの「日本の、これから草食系でなにが悪い 若者とかたる日本の未来」という討論番組を見た。
酒、女性、車、ブランド品、海外旅行などに関心が薄くなった若い男性を草食系という言い方がマスコミで流行ってきたのは2年前位から。
番組は「身の丈にあった暮らしをする草食系で何が悪いの?」という若者と「仕事に意欲を燃やし積極的に海外進出を目指すような人材が育たないと日本は競争力を失う」という中高年者との討論だった。
気になった点は番組が「一昔前の日本人=会社人間=組織内上昇志向=アフターファイブは会社の人と飲み会」「今の若者=自分の生活中心=仕事より趣味=アフターファイブは宅飲み、スィーツ食べ、音楽など色々」とステレオタイプ化している点だ。
私の人生観からいうと、「仕事への熱意や組織内の上昇志向」と「趣味や社外の人との付き合い」というものは対立するものではなく、十分並存可能なものなのだ。今流行りの言葉でいうと「ワークライフバランス」だ。
私はこのことについて「人生は四本柱が重要」と以前から考えてきた。四本柱とは「職業人としての自分」「家庭人としての自分」「市民としての自分」「一個人としての自分」だ。「一個人としての自分」とは宗教などの精神的活動や趣味の世界を指す。
このように人生を複合的にとらえないで、会社人間か趣味人間かという二元論的な思考に陥っても発展はない。
ところで「草食動物=おとなしい」というイメージから、おとなしそうな男性を草食系と呼ぶようになったのだろうが、草食動物は本当におとなしいのだろうか?確かにウサギなど小動物は概しておとなしい。しかしアフリカの大草原を大群で疾走するシマウマやヌーは猛々しい。大型草食獣の大群の前ではライオンを尻尾をまいて逃げる。
また草食系の動物は多産だ。沢山子供を生んで元気で強いものだけが生き残り、足が遅い子供は肉食動物の餌食になる。
草食動物とはかくのごとく逞しいものなのである。
若い人に言いたい。会社にのめり込む必要なんかない。のめり込んで上司のご機嫌を取ったところで組織の階段を少し上まで登ることができるかどうか保証はない。
趣味などの自分の生活を大事にすることは良いことだ。だがやるならある程度のレベルに達するまでやって欲しい。現状満足で過ごすには人生は余りに長いからだ。
アフターファイブの飲み会なんか参加しなくて良い。ちゃんと給料に見合う仕事をしていれば卑下することは何もない。
草食系で良いではないか?草食動物は弱いだけのものではない。己や己の子供を守る時にはライオンにも立ち向かう強い動物だ。必要な時に悍馬になる気概があれば、草食系大いに結構と私は考えている。