金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

社会主義という言葉に対する米国人の意外な反応

2010年05月13日 | 社会・経済

時間のある時に私は米国のPew Research CenterのHPを見ることがある。色々な調査データを見ることで、人々の意識の変化を確かめることができるからだ。日本の世論調査サイトも見るが切り口としてはPewの調査の方が面白い。

最近見たデータの中に「社会主義、それほどネガティブでない。資本主義、それほどポジティブでない」という調査結果があった。私は米国では「社会主義」という言葉は政治的に相当ネガティブに受け止められていると考えてきたが、このデータを見て認識を改めた。

調査によると「社会主義」という言葉に59%の人はネガティブな反応を示すが29%の人はポジティブな反応を示す。また「資本主義」という言葉に52%の人はポジティブな反応を示すが、37%の人はネガティブな反応を示す。恐らくこの反応は多くの日本人が想像してるより、左よりなのではないだろうか?(少なくとも私はもっと多くの人が社会主義にネガティブな反応を示すと思っていた)

なお支持政党別に見ると共和党支持者の77%は社会主義という言葉にネガティブな反応を示し、民主党支持者の44%は社会主義という言葉にポジティブな反応、43%はネガティブな反応を示すということだ。これは先月時点の調査結果。

因みに米国人がポジティブに感じる言葉を順番に並べるとFamily Value(家族の価値、89%)、Civil Rights (公民権、87%)、State (州権、77%)、Civil Liberties(人権擁護、76%)・・・だ。

日本人がこれらの政治的レトリックにどのような反応を示すか興味があるところだが、今のところデータは見ていない。政治家がこのような世論調査に基いて演説を行うと~中身の良し悪しは別として~少なくとも、短期的には聴衆によりポジティブな印象を与えるとこができることは確かだろう。逆にレトリックだけが飛び交うというマイナス面もあるのだろうが。

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アジア人は財布の紐を緩め続けるか?

2010年05月13日 | 社会・経済

ファイナンシャル・タイムズはアジアの個人消費が急速に伸びている事実に対し、これが持続的なものかどうか両論を紹介していた。

シンガポールのDBS銀行の調査によると、アジア10カ国(中国、韓国、台湾、香港、シンガポール、インド、インドネシア、タイ、マレーシア、フィリッピン)の消費は2008年9月に較べて7%以上伸びている。一番顕著なのは中国で09年に消費は1,800億ドル増加した(米国は900億ドルの増加)。

消費ブームが持続するという見解を示しているのはDBS銀行のチーフ・エコノミストCarbon氏だ。FTは「経済成長を背景とした持続的で自発的な需要に支えれた個人需要への長期的シフト」という氏の見解を紹介しいてる。

一方アジア開銀のチーフ・エコノミストJong-Wah Lee氏は「リーマンショック後の景気刺激策により一時的に個人消費が拡大しているがその持続性は疑わしい」という意見を述べている。アジア開銀の調査によると、アジアの中央銀行は08年第3四半期以降平均で2.34%政策金利を引き下げ、多額の流動性を供給した。だが個人消費が持続するためには、政府が高い貯蓄率を引き下げるような努力をすることが必要だろう。そして幾つかの国でそのような兆候はある。

例えば中国の習斤平副首相は「中国は主に内需に依存して経済発展を図らなければならない。そして特に個人消費を重要視する必要がある」と述べている。

ただ前述のLee氏は「経済危機が終われば元の道に戻るリスクがある」としてアジアの個人消費の持続性に懐疑的な見方を示している。

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