5月16日日曜日、鳥海山登山を終えた僕達3人組は鉾立駐車場から200km離れた月山麓の姥沢小屋を目指して走り始めた。出発時間は2時頃。吹浦(ふくら)を過ぎて山形自動車道に入るところから見た鳥海山の姿が素晴らしかった。緩やかな裾野と白い頂のコントラスト、鋭くそして優雅な姿だ。写真を撮る時間がなかったのが残念。なにせこの日の宿の姥沢山荘からは5時頃には来いといわれているのだ。
ところが慌てて山形自動車道に入ってしまったので、途中でガソリン不足にヤキモキするハメになった。姥沢に入る道を通り過ごしてガソリンスタンドを探し回った始末。何とかガス欠の前にガソリンスタンドに辿り着いて事なきを得たが万一ガス欠騒動になれば月山登山はなかったかもしれない。東北のドライブでは余裕を持ってガソリンを手当てすることが肝心と改めて思った次第。
そんな小さなハプニングはあったが、午後5時には姥沢到着。姥沢小屋から雪上車でピックアップに来てくれる。歩いても10分弱なのだが荷物が多いので助かった。
写真は翌日リフト乗り場の方から撮った姥沢小屋の全貌。
さてこの日の晩ご飯はすき焼と山菜の天婦羅。すき焼には赤い牛肉が沢山ついていた。米沢牛と信じたい。小屋は山小屋というより旅館風だ。4,5人一度に入ることができるお風呂もある。
写真は玄関の熊の剥製。剥製は良いが本物に出会うのは勘弁願いたい。
明けて17日月曜日快晴。7時朝食、7時40分に小屋を出て10分弱雪の斜面を登ってリフト乗り場到着。8時に運転開始のリフトに乗った。8時20分リフト終点からいよいよ月山登山開始だ。月山に登るルートは大きく分けて二つある。一つは姥ケ岳につながる左手の尾根沿いに牛首を目指すルートでもう一つはカール状の広大な谷を横切り牛首と月山の間の小さなコルにでるものだ。僕は後者のルートを取り、同行のN君、K君は前者に近いルートを取った。所要時間は余り変わらないだろう。牛首の上のコルに到着したのは9時18分。
月山頂上に近づくにつれ雪の斜面の傾斜が増しやがて藪と岩混じりの道に変わる。スキーをその手前でデポしてツボ足で登った。この日の雪の硬さならアイゼンは全く必要がない。10時6分山頂の一角方位盤のあるところに到着。リフト終点から山頂までの所要時間は1時間45分だ。目の前に芭蕉の「月の峰いくつ崩れて月の山」の大きな句碑がある。
写真の右の石碑がその句碑だ。向こうの雪山は朝日連峰だ。
芭蕉の句碑から3分程歩くと月山神社がある。ここが最高点(1984m)だが以前登っているので今回は割愛した。兼用靴と足の馴染みが悪く靴擦れができて痛くて仕方がないのでゴツゴツした岩の道は敬遠した次第。写真は月山山頂。建物は月山神社だ。
さてスキーデポ地点からは大滑降が待っている。牛首のコル付近まで先に降り、N君とK君の滑降姿を写真に撮った。
中央の雪の斜面の上部の黒い点が滑り始めたN君。
1分程でここまで降ってきた。カレー屋さんを経営するN君の滑りは華麗という訳ではないが力強く粘っこい・・・つまり山屋さんのスキーだ。とにかく彼はタフで登り降りとも滅法早い。
次に滑ってきたのはシステムエンジニアのK君。慎重だけれど緩斜面を滑る姿は写真になった。
ここからできるだけ稜線沿いに姥ケ岳を目指す。高度を保つ方がリフト終点へ向けて豪快な滑りが楽しめるからだ。
リフト終点からは滑り荒らされた斜面を一息に下るのみである。やや傾斜のある谷底をパラレルターンの連続で滑り切ると11時40分にリフト乗り場に到着した。月山往復の所要時間は3時間40分(リフトに乗ってから滑り降りてくるまでの時間)だった。
写真は姥沢から見た姥ケ岳。雪また雪の世界である。
午後1時過ぎに姥沢を出た僕達は交通渋滞に会うこともなく6時20分頃には田無の自宅に戻ることができた。走行距離は約1,150km。
思えば雪を求めて随分遠くまで遊びに行ったものである。