ファイナンシャル・タイムズはHatoyama written off as lame duck premierというタイトルで多くのアナリストや政治家が鳩山首相を見限ったと報じている。
Lame duckの文字通りに意味は「足の不自由なアヒル」だが、政治的な用語としては「死に体」の大統領や政党を指す。特によく使われるのは、次の選挙に出馬しない米国大統領を指す場合だ。Write offは私のブログの読者ならばよくご存知のとおり、金融用語としては「不良債権を償却する」意味で使われる。ただしこの場合は「見限る」という一般的な意味である。
鳩山内閣の不支持率は6割を超える。NHKの最近の世論調査では支持率21%、不支持率68%だ。その理由は何か?
FTは「断固たる決断をする能力に欠ける」「政治資金スキャンダル」「普天間基地移転問題に関する政治的な列車の衝突事故」が鳩山政権を見限らせたと解説する。
FTは「政治家の辞め方」を書いた本田 雅俊 政策研究大学院大学准教授の「鳩山首相は総ての人を喜ばそうとしているがそれは不可能である。首相にとって最も大切なことは政治的判断である。鳩山首相はいかなる判断もできず約束を守ることができなかった」という言葉を紹介している。
もっともFTは鳩山首相は2兆2千億円の子供手当ての支給など幾つかの点で成功していると述べている。
ところで「断固たる決断に欠ける」つまり優柔不断ということは、あらゆる分野においてリーダーたるものが一番避けなければならないことであることは間違いない。
マキャベリは君主論の中で「君主が移り気で、軽薄で、軟弱で、心狭く、優柔不断だと思われると軽蔑される」と喝破している。
総ての人を幸せにすることは宗教の世界では可能かもしれないが、政治の世界では不可能な話。
ただ公平の観点から言えば、選挙民に良い顔をしてきたのは鳩山首相だけではなく、日本の歴代総理や欧州の政治首脳も程度の差こそあれ同じようなものだ(優柔不断さにおいてはかなり差があるが)。
また我々先進国の国民も「グローバリゼーションにより発展途上国から間接・直接に安い商品・サービスが流入し、賃金や物価は『国際価格』に収斂する」という不都合な真実に目をそらせてきた。
今そのツケがギリシアなどの債務危機という形で回ってきている。日本に必要な政治家は耳ざわりの良い言葉を喋る人ではなく、長期的視点から不人気な政策でも断固として進める人なのだろう。無論その政策について説明責任を果たさねばならないが。