金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

中国国家外為管理局、ユーロ国債見直しに動く

2010年05月27日 | 金融

ファイナンシャル・タイムズによると、中国の外為会計を管理する国家外為管理局SAFEは最近外銀達とミーティングを持ちこの問題について討議を行っている。PIIGSへの懸念が為替管理局を慌てさせているのだ。

中国の外貨準備高は2兆4470億ドルで、ユーロ債の保有残高は約6,300億ドル相当と推定されている。ただ外貨の構成比率は国家秘密だ。外為管理局は昨年ドル資産のエクスポージャーを下げるため、ユーロ債の投資を増やすことを試みたが、再び大きな舵取り転換を求められそうだ。

以下は個人的な直感に過ぎないが、中国が外貨準備をドルに頼らざるを得ないということは、政治・外交面でも米国に優位性を回復させる。すくなくともリーマンショック後、中国が米国債を売ることを恐れていたような状況からは脱したと考えてよいだろう。ドルへの資金流入と投資家の米国債購入は米国の金利低下を促進する。

また外交面で米国は今までよりもレバレッジを持つと考えてよいだろう。中国の外為会計を見ていると規模は違えど昔の日本の生命保険会社を思い出す。国内で運用機会が少なくかつインカムゲインを配当原資に使えなかった生保はやむなく外債を購入して為替損を蒙った。

中国は民間の対外投資を縛っているため外為会計が為替損を蒙りやすい仕組みとなっているのである。

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アップル、時価総額でマイクロソフトを抜く

2010年05月27日 | デジタル・インターネット

明日4月28日、アップルが日本でiPadを発売する。日本でも予約が早々に締め切られるなど話題性は十分だ。だが米国ではもっと話題性に富む出来事が起きた。アップルがIT企業の頂点に立ったのである。

ニューヨーク・タイムズは昨日(5月26日)、アップルの時価総額(2,221億ドル)はマイクロソフトの時価総額(2,191億ドル)を抜いたと報じた。2社の収入はアップルが429億ドルでマイクロソフトが584億ドルだから、市場はアップルの将来性を高く評価しているということだ。

10年前は消滅の危機さえささやかれたアップルだが、ジョブスが戻ってきたから再生の足取りは速かった。

昨年PCの販売台数は306百万台で、スマートフォンの販売台数は172百万台。しかしスマートフォンの売上は5倍の速さで伸びている。

これはコンピュータ端末(PC、スマートフォンなど合わせて)がビジネスユースからパーソナルユースへ大きくシフトしていることの表れだ。アップルはうまくその波に乗ったといえる。アップルの商品群はiPods, iPhones, iPadsだ。音楽、情報、書籍に携帯端末からアクセスする道を開いてきたアップルが、時価総額で頂点に立ったことはコンピュータの活用方法の変化を示す象徴的な出来事だ。タイムズは「キーボードをガチャガチャいわせる音はスマートフォンのタッチスクリーンを操作する指の動きに領域を譲った」と述べている。

余談だがタッチスクリーンを操作する指の動きをthe swipe of a fingerというのはこの記事を読んで初めて知った。Swipeは「強打」だとか「サンプル調査」という名詞の他「(カードを)機械に通す」という意味がある。タッチスクリーンは強打する必要はないのだがどうしてswipeという単語を使うのかちょっと疑問。

余談を続けるとスマートフォンを買って最初にタッチスクリーンを指で操作した時は意図する場所(文字等)にタッチできず少し苦労した(なんせ指が太いものですから)。でも1日で慣れた。なれるとタッチスクリーンも「カッコ良い」。

話を本題に戻すと、今アップルの後を追うのはグーグルだ。グーグルの時価総額は1,514億ドル。私もグーグルのアンドロイドをOSにしたスマートフォンを使い始めたが利用方法はライフスタイルに合わせて広がる気がする。

ユーザに不必要な苦労をかけずに楽しみを極大化する・・・・IT企業はどこなのだろう?

熱い戦いに終わりはない。

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