10日日曜日白馬山荘の朝は早い。朝食は4時半開始だが4時前には食堂の前に列が出来ていた。我々も4時半過ぎには食事を終えご来光を見るために5分程頂上に向かって登った。
写真は丁度5時に撮ったもの。ご来光を完全に見るためにはもう少し早く出た方が良さそうだ。杓子と鑓の上には薄い雲がかかっていた。
頂上には5時20分に到着。杓子や鑓も明るくなっている。
ここからは下山だ。小蓮華につながる稜線を見ていると色々な思い出がわいてきた。私は冬に白馬を登ったことはあるが、夏の白馬に登るのは今回が初めてだ。大学時代重いテントを白馬大池に担ぎ上げ、吹雪の中を白馬と杓子を往復したことを思い出す。あの頃の仲間や先輩の内数名とは年に1,2度酒を酌み交わすことはあるが、一緒に山に行くことは久しくない。いまだに山をふらついている私は成長がないのだろうか?
振り返る白馬の頂上。小蓮華には悲しい思い出もある。それは銀行時代に後輩(直接は知らないが)が、お子さんを連れて白馬で遭難死したことだ。白馬から蓮華温泉に下る鉱山道というルートは沢を渡るところがあるが、そこで夕立に合い激流に飲み込まれてしまったのだ。この時は私も県警や消防の人達と捜索に出向いたが、ご遺体を発見することは出来なかった。遺留品からこう判断した次第である。白馬岳は優しい姿をしているが時として恐ろしい顔を見せることがある。
7時過ぎに小蓮華岳を越えて金山沢の上についた。
ここは数年前の5月にスキーで白馬尻まで滑り降りたところだ。一本の木もない真っ白い(といいたいが黄砂かスギ花粉で少し汚れていた)斜面に飛び込んでいく爽快さ。私は風にそよぐ高山植物を眺めながら、雪山のことを考えていた。
白馬の夏は人、人、人の群れだ。多くの人が山を愛し山に登ることは良いことだが、静寂を求めるならば、積雪期に登るしかないことも事実だ。
8時10分白馬大池到着。
大池は華やいでいてリゾートっぽい雰囲気がある。ここから乗鞍岳へゆるい登りがある。乗鞍岳からは天狗原まで急な降りだ。最初に出てくる小さな雪渓は遊び心をくすぐる。
その下のガレ場の降りは結構きつい。私達の仲間の内二人が転倒した。幸い怪我はなかったが、悪くすると怪我をするところだ。栂池から白馬岳を登るコースはアルプスでは易しいコースだが、乗鞍岳の登り降りは要注意だ。
10時40分頃栂池ビジターセンターに到着。ロープウエイ・ゴンドラと乗り継ぎ、栂池高原に下りて日帰り温泉に入り、午後1時半の長野行きのバスを待ちながらビールで乾杯を繰り返した。天候と仲間に恵まれた充実した山旅は終わった。白馬岳は私の中に新しい1ページを残してくれることになった。