ニューヨーク・タイムズを読んでいたら、ロシアがグルジアに実弾攻撃をかける前に、グルジアのコンピュータ・システムに対する攻撃、つまりサイバーアタックがあったと報じていた。ではロシアがサイバーアタックを仕掛けていたのか?というとそう断言する証拠はないということだ。
米国のインターネット専門家によると7月20日には、グルジアのサーバーに対して、D.D.O.S (Distributed Denial Of Service)攻撃が始まっている。D.D.O.Sとは複数のネットワークに存在するコンピュータが特定のコンピュータに向けて大量のパケット(情報のかたまり)を送りつけ、通信路をふさぎ機能を麻痺させることだ。
米国のボランティアグループの調査によると、このサイバー攻撃でグルジア大統領のウエッブサイトが24時間運営不能になったという。インターネットの専門家によると、分かっている限りでは実弾攻撃とサイバー攻撃が同時に行われたのは初めてのことだ。
グルジアはインターネットの先進国ではないので、サイバー攻撃の影響は政府のウエッブサイトにアクセスできないという程度の影響で済んだが、もっとインターネットが重要な機能~交通網・電力供給・銀行業務など~に関わっている先進国がサイバー攻撃を受けた場合の影響は甚大だ。
サイバー攻撃の特徴は「攻撃コストが極めて安い」ことと「犯人を特定するのが難しい」ということだ。世の中は便利になりながら、内包するリスクも高まっていると言わざるを得ない。そういう意味ではサイバースペース(仮想空間)は金融デリバティブと類似しているとも言えるだろう。