金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

口座管理は自己責任で

2008年08月30日 | 社会・経済

銀行を舞台にした犯罪は日本では「振込み詐欺」が有名だが、米国では「他人口座から電子的に引き落としを行う」犯罪が多いようだ。「振込み詐欺」が発生しないのは米国では、個人の電信送金システムが発達していないからである。大体の送金は小切手を書いて相手に送付することで決済している。小切手を郵送している間に「あっ、これは詐欺だった」と気がつくことが多いだろうから、すぐばれるような詐欺はやりにくい。

そのかわり小切手支払いが電子的な犯罪の入り口になることがあるとニューヨークタイムズは書いていた。個人から物品代金を小切手で受け取った販売会社は、個人の銀行口座からその金額を引き落とし、電子的に自分の口座に振り替える権利を持つ。この振り替えルートが盗用されると、個人の口座から架空の売買代金を引き落とすような盗難事件が発生する。

ニューヨーク・タイムズは、JPモルガンのプライベート・バンクに口座を持つアクティビスト投資家が15ヶ月の間に30万ドルもの金を盗まれたと報じている。金を盗まれたこの投資家は銀行に口座管理上の責任ありとクレームをつけたが、銀行は「取引報告書が発行されて2ヶ月以内に申し出があれば、銀行が損失負担するがそれを過ぎると銀行に責任はない」と言っている。これは連邦銀行法のルールだ。

このアクティビスト投資家は米国や欧州を飛び回り、毎月切っている小切手の枚数も半端な数ではないので、とても小まめに引き落としの明細をチェックすることは不可能だと言っている。ちなみに偽の引き落としの中にはデル・コンピュータへの支払いを装っていたものがあった。

アメリカは日本と違い、個人でも当座預金を入出金に使う。通帳はなく毎月の異動明細と残高を郵送で送ってくる(今ならインターネットでも見られるのだろう)。このため異動明細のチェックは欠かせない。日本でも無通帳でステートメント方式の口座が増えてきた。インターネット経由で頻繁にお買い物をする人は、この話を他山の石として慎重に支払い明細をチェックしておいた方が良いかもしれない。

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