Spell troubleは嫌なイディオムだ。何故ならそれは「トラブルをもたらす」という意味だからだ。Spellというと「つづり」「文をつづる」ということを思い出すが、「(しばしば悪い意味で)結果をもたらす」という意味もある。従ってSpell troubleというとトラブルをもたらすということになる。ニューヨーク・タイムズが次の見出しを出していた。Friction with Russia may spell trouble for U.S. 「ロシアとの摩擦は米国にトラブルをもたらす可能性がある」という意味だ。
記事によるとシリアの大統領バシャー・アル・アサドは今週ロシアを訪問して、最新の武器購入希望リストを示した。ロシアは長年シリアに武器輸出を行っているが、現在までのところ最新の地対地ミサイルの輸出を行っていない。
米国との摩擦が高まるとロシアが、色々な形で米国の政策を妨害する可能性が高まるとニューヨーク・タイムズは警告する。安全保障理事会における拒否権発動もその一つだし、米国に敵対する勢力に対する武器輸出もその一つだ。
この問題に対する抑制勢力がロシアの中にない訳ではない。グルジア紛争以来ロシアから資金流出が加速し、株価指数RTSは8%以上下落している。プチン首相の周りの経済人達は痛みを感じて穏健策を取るように働きかけているはずだ。しかしこれからの情勢は全く予断を許さない。例えば米国はアフガニスタンに対する軍事活動の拠点の一つを協力的なキルギスタンにおいているが、ロシアがキルギスタンに拠点を排除するべく圧力をかけてくるといった可能性がある。そうするとターリバーンが攻勢を強める中米・Nato軍は苦しい立場に追い込まれる。
ロシアの動きは中央アジア・中近東の緊張を一層高める危険性がある。