金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

Cash in (イディオム・シリーズ)

2008年08月26日 | 英語

Cash in (on ~)とは「~によってもうける」という意味だ。ニューヨーク・タイムズに次の文章が出ていた。Honda is cashing in on its reputation for the reliability and fuel effciency.「ホンダは信頼性と燃費の良さに対する評判によって儲けている」という意味だ。ホンダはトヨタがビッグ3の後を追い、ピックアップトラックの生産を始めても、「環境に優しい」車を作るという自分達の哲学を守ってまねをしなかった。今そのことがプラスに作用している。

ガソリン高から米国では車の売れ行きが落ちている。今年に入って車全体の売上は11%減少している。特に売上が落ちているのは、SUVやピックアップトラックなど燃費の悪い車に頼っていたGMやフォードだ。GMの売上は18%、フォードの売上は14%下落している。トヨタも7%の減だ。その中でホンダは3%売上を伸ばしている。

中でも良く売れているのはフィットだ。フィットの販売台数は79%も増えている。ニューヨーク・タイムズは「ホンダの車はトヨタの車より個性的で、運転して楽しい」というあるアナリストの声を紹介していた。

良いものを素直に受け入れる。これは米国社会の良いところで、改革の原動力だ。ホンダを受け入れる中に私はアメリカの柔軟性と復活の兆しを感じている。

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アマゾン栄えて、本屋は苦戦

2008年08月26日 | うんちく・小ネタ

昨日自宅のメールを開くとアマゾンから「出品中の『ラスト・オイルショック』が売れたので直ぐ送品されたし」というメールが来ていた。先週末に出品したばかりなのに随分早く売れたものだ。この本の定価は1,500円、売値は1,100円(郵送料を差し引くと手取りは600円程度なのだが)とまあまあのディール。それよりも本を希望する人にお安く分けてあげることができたら幸いと考えている。紙も限られた資源なのでリサイクルに貢献したいと考えている。

「ラスト・オイルショック」は新書をアマゾンで買い、読んだ後アマゾンのバーチャル古本市で販売しているのだから、アマゾンにはダブルで貢献した訳だ。このようにアマゾンは結構良い商売をしているが、その影で既存の本屋さんは苦労している。7月には日本洋書販売という洋書卸の最大手が自己破産した。この会社はTIMEなど有名雑誌の輸入を手がけていたが、売れ行き不振で破産に至った。また新しいところでは、昨日大分の新聞に載ったが、同地の大手書店が会社更生法を申請した。

従来型の本屋が苦戦する理由はアマゾンなどのネット販売との競争だけではない。まず一般に消費者が新刊本を買わなくなった(私など職業柄多く買っている方だろう)。「読み切っておしまい」という本はまず図書館で探す。図書館にない場合はブックオフで探す。私の場合この手の本を求めて町の本屋さんを訪ねることはまずない。次に専門書に近いものは丸善で探すこともあるが、買う本が決まっている場合はまずアマゾンで買う。

町の本屋さんが苦戦する理由の一つに万引きを上げる人も多い。新書を万引きしてブックオフに売る人が多くて経営に大きな影響を与えているという話を聞く。

パソコンや携帯電話で本を読む電子書籍というサービスも始まっている。私は利用したことがないし、又当面パソコンで本を読む積もりもないので、その影響度合いに余り関心はないが、町の本屋さんにとってネガティブな材料であることは間違いない。

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日本10年、アメリカ5年

2008年08月26日 | 社会・経済

桃栗三年、柿八年という諺になぞらえると日本10年、アメリカ5年といえるかもしれない。何が10年や5年かというと不動産バブルの崩壊から立ち直る年数である。不動産と株のバブル崩壊後日本は「失われた10年」という低成長期を経験した。一部の人はアメリカのバブル崩壊の日本のそれとの近似性からアメリカの立ち直りに長い時間がかかると予想する。しかし大部分の人はアメリカは日本と同じ道を辿らないと考えている。

エコノミスト誌は最近日米のバブルを比較している。それによるとバブルの傷自体はやや意外だが、アメリカの方が大きいところがある。例えば平均的な住宅価格は日本で1985年から91年にかけて51%上昇しているが、アメリカでは2000年から2006年に90%上昇している。日本の住宅価格はその後40%下落している。米国の住宅価格は既に20%下落しているが、更に10%以上下落すると見ている人が多い。

商業用不動産については同じ期間に日本では8割上昇し、米国では9割上昇している。従って米国の方が不動産バブルの度合いは大きいとエコノミスト誌は言う。

日本では同時期に株式バブルも崩壊したが、個人で株を所有している人が人口の3割なので、株式所有が半分を超える米国より家計に与える影響は少ないというのが同誌の主張だ。また貯蓄率の違いも米国に不利だ。日本では90年代初めに15%だった貯蓄率は2001年には5%に低下している。この分消費が増えたが米国にはこのような糊代はないとエコノミスト誌は主張する。

以上のように米国のバブルの傷跡の方が日本のそれよりも大きい面があるが、多くの人が米国は日本のように長い景気低迷を経験しないだろうと判断する根拠は金融市場と政治構造が、含み損を実現させ早期のバラスシートの改善を促すからだ。これに較べて日本では小出しで金融システムへの公的資金投入が行われたため、バブル処理が遅れた。(他にも97年に消費税を上げた等政策の誤りはあるが)

又バブル崩壊後日本は円高が続いたが、米国の場合はドル安となり輸出が伸びていることもプラス材料だ。

しかしエコノミスト誌が指摘していない大きな弱みが今の米国にある。それはオイル価格の上昇による自動車産業の低迷だ。またガソリン価格の上昇は米国の住宅市場を構造的に変える可能性があると私は見ている。つまり諸費者の都心回帰志向が高まり、郊外の大きな一戸建て住宅の価格は未来永劫回復しない可能性があると私は見ている。バブル崩壊とオイルショックの二重奏。これは日本が経験しなかったものだ。

米国の試練が日本のバブル崩壊より格段に軽いという訳ではないだろう。個人の直感的な判断だが、米国の立ち直りに要する時間を5年とみた。長過ぎるかもしれないが、その位の積もりでモノゴトを見ておいた方が失望が少なくて済むと私は考えている。

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