金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

鉛中毒、中国の隠れた災害

2011年06月16日 | ニュース

ニューヨーク・タイムズは中国の鉛中毒問題を指摘していた。記事は浙江省の電池メーカーに鉛中毒に抗議する約2百人の群集が乱入した事件からスタートする。記事によると付近住民中、233人の大人と99人の子供の血中の鉛レベルが中国政府の安全基準の7倍まで高まっていた。

このような鉛中毒事件は中国各地で発見されている。タイムズは過去2年半で中国本土31の省(含む直轄市等)の内、少なくとも9つの省で、数千人の労働者、村の住民、子供が有毒レベルの鉛汚染を受けていることが発見されている。鉛害を出しているのは、電池(鉛酸バッテリー)工場や精錬所だ。

中国の地方政府は経済発展の分け前を追求する過程で、環境汚染、労働者の安全、公衆衛生をこのような暴動が起きるまで見過ごしてきた。

体内の高濃度の鉛は脳、腎臓、肝臓、神経、胃に損傷を与え、極端な場合は死に至る。特に子供には危険だ。中国の鉛中毒の状況を示すデータは少ないが、2001年のあるレポートは鉛中毒は中国の子供のもっとも普遍的な健康問題だと報じていた。

中国の保険省は2006年に子供の血中の鉛濃度は低下しているので、全国的な検査の必要はないと言った。しかしそれ以降電動自転車や自動車用の鉛電池工場が増え続けている。

中国の指導者達は鉛害を重大な問題と認め、最近の5カ年計画で重金属汚染を削減のプライオリティを高めている。しかし具体的施策の実施は遅れている。ある政府高官が匿名で伝えるところでは、先月の国務院の会議で温家宝首相が環境大臣を叱るという場面があった。

☆   ☆   ☆

ところで中国のメディアは鉛毒の問題をどれ位取り上げているのか?を新華社(英語版)で検索してみた。するとタイムズが取り上げた浙江省の電池メーカーの暴動の件は見当たらなかったが、紹興(紹興酒の紹興。浙江省にある)103人の子供を含む600人以上が鉛汚染を受けているという記事が出てきた。中国メディアも鉛中毒問題に目をつぶっている訳ではなさそうだ。

☆  ☆  ☆

鄧小平が門戸を開いて約30年。経済成長を続けてきた中国のひずみが顕在化してきている。鉛汚染などの環境汚染や公害問題もその一つ。地方政府が中央政府の指示にテキパキと従わないのも、中国の大きな問題(悪いことはすぐ真似するようだが)だ。

色々なことで中国は大きな曲がり角にきている。角の向こうに更なる発展を見るか、足踏みを見るか、あるいは大きな混乱を見るか?それは見る人の歴史的洞察力の照射範囲が決めるだろう。

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CIAのウエッブサイトがハッカー攻撃で一時ダウン

2011年06月16日 | ニュース

ロイターによると、CIAのウエッブサイトがハッカー攻撃で昨夜(6月15日夜)アクセスできなくなった。夜の遅い時間には散発的につながった。

この記事を読んだ後、CIAのホームページにアクセスしてみたが、一回目はつながらず、二回目につながった。

ロイターによるとハッカーグループLulz SecurityがCIAサイトを攻撃したと名乗りを上げている。このグループは米国の上院、ソニー、News Corpなどを攻撃したと名乗りを上げている。

Lulzとは俗語で「愉快」という意味。ネットワーク・セキュリティの専門家は、このハッカーグループは自己顕示のため攻撃をかけていて、実害は少ないとしている。Lulzは米国上院サイトから盗んだデータをウエッブサイトで公開しているが、上院のセキュリティ担当者は秘密情報が盗まれた形跡はないと述べている。

またCIAのネットワークについては、センシティブなデータまでアクセスすることは出来なかった。

ということで今のところ大きな「実害」は出ていない。とはいうもののCIAのWorld Factbookは私も良く利用するサイトなので、アクセスできないとなるとストレスが溜まる。悪ふざけをしないでよ、と言いたくなる。

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