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電力不足問題は信頼欠如の問題(エコノミスト誌)

2011年06月24日 | ニュース

今日(6月24日)も暑い。ニュースによると午後熊谷市で39.7℃を記録、これは6月の気温としては最高気温ということだ。これだけ暑いと節電により、熱中症が増えるではないか?という懸念がでてくる。

ところで関東地方の企業や自治体は節電要請に協力する姿勢を示しているが、関西では関西電力の節電要請と広域自治体である関西広域連合の主張がかみ合っていない。エコノミスト誌はこの問題を解説していた。

ニュースでご存知のとおり関西電力は7-9月のピーク時に15%の節電を要請しているが、広域連合は5-10%の節電で十分だと主張している。大阪府の橋下知事は家庭の節電だけで十分だという意見だ。橋下知事は「関西電力は原発再開のプレッシャーを自治体にかけるため、電力不足のリスクを誇張している」と疑っているのではないかと思われる。

朝日新聞の報道によると「橋本知事は、電力消費地である大阪から原発のある福井県に原発再開を要請して欲しいと関西電力から要請を受けた」。

関西電力は日本で原発依存度が一番高い。福井の敦賀1号機は福島原発と同じ古いタイプの原子炉で、また断層帯に近いためリスクを指摘する地震学者がいる一方ビジネスロビーは、原子炉が再開されないと経済に大きなダメージを与えると主張する。

財団法人関西社会経済研究所は「今年の夏に5%エネルギー消費が減るだけで関西地区の今年のGDP成長率は0.5%減少する」と述べ、日本経済センターは「原発が稼働しないと2012年のGDPは稼働した場合に較べて1.6%低くなるだろう」と推定している。

エコノミスト誌は「このような予想はロビー活動の戦術に過ぎないかもしれない」と疑う。というのは関西社会経済研究所は最大の寄贈者が関西電力であることを認めているからだ。また日本経済センターは電力事業連合会から大きな援助を受けている。

原発反対派の橋本知事は海江田経済産業相が「判断根拠を示すことなく、大部分の原発は安全だ」と宣言したことに対して、それはあべこべで「政府は安全を保証するのではなく、リスクを詳細に説明し、国民に判断を委ねるべきだ」と述べている。

エコノミスト誌はこの状況を「問題は福島原発以降日本で信頼が失われていることだ」と指摘している。

橋本知事は「今年の夏を原発の稼働なしに乗り切ることができるならずっと原発なしにいける」と極めて楽観的だ。でもそれ程楽観的で良いのだろうか?という気もする。

恐らくこれからの猛暑でかなりの人が熱中症で倒れるだろうが、その時再び熱中症を人質にして原発再開の可否を言い争うのだろうか?Alas!

コメント (1)
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