金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

イオン、中国に2千店出店希望、随分大きく出ましたね

2011年06月13日 | ニュース

中国人は「白髪三千丈」(李白)が引き合いに出されるように誇張した表現が好きだ。イオンの開発担当役員のジェリー・ブラック氏がFTに語ったところによるとイオンは向こう10年で中国に最低でも2千店は出店するということだ。これも白髪三千丈式表現なのだろうか?

現在イオンが中国に出店している数は、同社の事業報告書によると65。内総合スーパー(GMS)は27でコンビニが9つ。足元の数字から見ると2千という数は誇張した表現ではないか?と疑いたくなる。

もっともライバルの海外大手スーパー、ウオールマートは既に中国に300店以上出店しているから、10年間で2千店という数字は不可能ではないのかもれない。

イオンは現在営業利益の10%を海外で稼いでいるが、2020年までには50%を海外で稼ぎたいとしている。イオンの国内店は高齢化が進む地方都市郊外を後背地としているため、国内の高齢化対策が急務だ。

個人的な話で恐縮だが、私は時々武蔵村山のイオンモールに出かけることがある。小売店は8割以上が若い女性向けなので、買い物は余りせず、もっぱら映画を見るためであるが。武蔵村山のモールを見る限り、若い家族連れが多く高齢化の影響が直ぐに及ぶとは見えにくいが、全国的には「2015年問題」(2015年に総ての団塊の世代が65歳に到達する)がヒタヒタと押し寄せているのだろう。

FTによるとイオンは2007年から2009年の2年間で8%に過ぎなかったアセアン諸国と中国向けの資本支出(設備投資)を11年から13年には25%に引き上げる計画だ。

ところで平均すると毎年中国に200ケ店づづ出店することになるが、ロジスティクスや人材面は追いつくのだろうか?イオングループは多数の中国人やその他のアジア人を内外で採用中だが、ブラック氏によると、2020年までに20万人の採用を行う予定でその8割は日本語を話せないだろうということだ。それでもイオンはアイデンティティを保つことができるのだろうか?

☆  ☆  ☆

もしこれらのことが実現すると、10年後の武蔵村山のイオンモールはどうなっているだろう。国内店は余り儲からないので、リノベーションが先送りされパッとしない店になっているかもしれない。また「上海での売れ筋商品」などが店先を席巻しているということがあるのだろうか?

イオンAeonはギリシア語で「永遠」の意味だ。中国進出が上手くいくと企業としては長く生き延びることができそうだが、中身は様変わりしているかもしれない。

ところで中国や東南アジアに進出できる小売り大手は活路を見いだすことができそうだが、海外に出る力やスケールメリットを持たないイオンの店子達はどこに活路を見いだすことができるのだろうか?

これからの10年は日本の小売業にとって本当に激動の時代になるだろう。これは白髪三千丈的誇張ではない。

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借金返済と消費拡大、そりゃ求め過ぎです

2011年06月13日 | 社会・経済

ロイターにAsking too much of U.S. conusmersという記事が出ていた。経済学者達はアメリカ人に債務の削減と消費拡大を求めるけれど、それはa bit too much、特に雇用情勢の悪化再び見込まれる中で、平均的家計には厳しいよね、という話だ。

米国では目下、雇用の弱さや景気の悪化を伝えるニュースが多い。先週発表された5月の非農業部門の新規雇用者数はわずかに5.4万人だった。バーナンキ連銀議長は「正常な状態からほど遠い」とコメントを出している。

オバマ大統領は先週土曜日に、来週予定されている(仮訳)雇用促進パネル(GEのイメルト会長をトップとする外部の諮問委員会)で、短期の雇用増加策に焦点をあてるとスピーチをした。

オバマ大統領は教育と代替エネルギーへの投資が雇用増加につながると述べたが具体策には踏み込んでいない。ある政府高官は、先週火曜日にホワイトハウスでは、給与税の一時的な減税も雇用対策の一部として検討されていると述べた。

ただしこれ以上の財政支出拡大に共和党が強く反対しているから、減税案が通るかどうかはまったく不透明だ(私の私見)。

ところで米国の消費者のサイフの紐の絞まり具合だが、ギャラップの調査によると、夏季シーズンの始まりと共に若干ながら緩んでいるということだ。

Cut back(節約)しているか?いないか?という質問に対して、過去3年で「節約している」が一番高かったのは、09年7月で73%の人が「節約している」と回答した。一番サイフの紐が緩んだのは、2010年の12月で「節約している」人は65%に低下した。現在のところ67.8%の人が節約していると回答している。これは5週間の移動平均で示しているので、「消費支出動向」の先行指標的な役割を果たしているとギャラップは述べている。

過去のパターンを見ると、サマーシーズンとクリスマスシーズンに「節約」が減るのが、米国の消費者のパターンなので、足元で「節約マインド」が少し低下していると言っても、本格的な景気回復はまだまだ期待できないだろう。

ギャラップの調査によると、高額所得者層(年収24万ドル以上)でも48%の人が節約していると回答している。高額所得者層がもう少しサイフの紐を緩めないと消費景気は回復しないだろう。

☆   ☆   ☆

さて日本の消費景気はどうだろうか?

昨日(日曜日)車で新青梅街道を多摩方面に走ったところ、最近の週末の中では随分車が多いなぁと感じた。イオンモールなど大型ショッピングセンターに入る道もかなり混んでいた。一部の民間企業ではボーナスが出たところなので、サイフの紐が少し緩んだのかもしれない。

コメント (1)
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