ニューヨークの緯度は弘前と同じだが、梅雨がない分早く夏が来る。そろそろ30度位まで気温が上がりそうだ。だがウオール街については少し肌寒い夏になりそうだ。ニューヨークタイムズによると、多くの投資銀行(証券会社)が、経費や人員の削減を考えている。
先を読むことで金を儲けることが仕事である(時々外れて損もするが)、投資銀行が相場の先細りを見越して経費削減に動いていることは、モノゴトを考える上で参考になる。ウオール街で一番収益力のあるゴールドマンザックスでさえ、向こう1年間で10%=10億ドルの経費(人件費外で)削減が必要だという結論に至っている。人員削減については最終目標は決めていないが、レイオフは避けられない見通しだ。
バークレイズ・キャピタルは既に全世界ベースで全社員の2%、600名を解雇している。
投資銀行が経費と人員の削減に動き始めている理由は、当面投資家のリスクテイク意欲が低下し、取引ボリュームが低下するという先行き判断と、金融規制改革法(ドッド=フランク法)の施行によるトレーディング活動の制限に対する懸念だ。金融規制改革法はこれから決められることが多いが、店頭デリバティブの規制などで投資銀行の収入源が減ることが見込まれる。
もっとも大きな商業銀行部門を持つJPモルガンやシティグループにとっては収入源が分散されているから、投資銀行ほど人員削減は喫緊の課題ではない。JPモルガンの幹部は、人員削減計画はないが、経費削減には努めていると話している。
金融機関の経費削減や人員削減は、金融界への依存度に高いニューヨーク、更には米国景気にもマイナス材料だ。
あちこちで暗い話が多い夏である。