ギリシアに端を発するユーロ圏の混乱が続いている。欧州連合とIMFが救済パッケージを発表しても中々投資家の不安は消えないようだ。その一つの理由をニューヨーク・タイムズの中で見つけた。それはギリシア109位、日本15位というある分野でのランキングだ。何のランキングかというと世界銀行が発表している「事業を行うことの容易さ」のランキングである。1位はシンガポールで、2位ニュージーランド、3位香港、4位米国と続く。ギリシアは何と109位で、エジプト、エチオピアの直ぐ下だ。つまりファイナンス面の支援を受けても、ビジネス環境を整備しないとギリシア経済を軌道に乗せる道筋は見えてこない。
ギリシアはアングラ経済が大きくタイムズによると、表の経済の2,3割に達するという。また公務員の数が全国民の1割近いという記事を読んだことがある。公的支出はコストベースでGDPに計上されるから、ギリシアの一人当たりGDPが3万ドル近いといっても、かなり水脹れしているようだ。にも拘らずユーロのメンバーであるから、トルコなど近隣国に較べると相対的に高い為替レートで観光ビジネスなどを競うからギリシアは楽ではない。
ところで世銀のランキング表を見ていくと日本もある分野で世界ランク91位と好ましからざるランキングが着いていた。それはStarting a business(新規事業の開始)のランキング。この分野の1位はニュージーランドで2位はカナダ、3位はオーストラリアである。もう少し世銀の表を見ていくと日本が1位のものがあった。それは何とClosing a business(廃業する)という項目だ。
世銀の調査はギリシアが一人当たりGDPで見るより実態はもっと貧しい国だということをあぶりだす。新規ビジネスのスタートは大変だが、廃業は世界一簡単という調査結果は日本の何をあぶりだしているのだろうか?