金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

65歳以上の雇用が増える

2008年06月17日 | 社会・経済

男性では65歳以上の、女性では60歳以上の雇用が増えている。ただし英国の話だが。ファイナンシャルタイムズ(FT)によると、英国では2008年3月までに、退職年齢以降の雇用が1年前に較べて、8.8%増加している。この年齢階層における雇用増加が他の年齢階層に較べて一番多い。因みに次に雇用増加が多かった年齢階層は男性で50歳から64歳の階層、女性で50歳から59歳の階層だ。

現在の英国の退職年齢は男性65歳女性60歳だが、女性の定年年齢も段階的に引き上げられ、2020年には60歳になる予定だ。

ついでに他の欧州諸国の退職年齢を見ると、ドイツには定年年齢はない。年齢を理由とする解雇は違法であり、年金受給を理由とする解雇も又「退職手当法」で違法だ。フランスの定年年齢は60歳である。

さて記事に戻ると、高齢者の雇用が拡大している理由として「出生率の低下」と「長寿化」をあげている。またある人々にとって仕事は嫌なものではなく、社会的なネットワークを確立し、社会参加をする場であるという。

またリーマンブラザースの上級政治経済顧問は、英国経済が重工業中心からサービス業依存型に移行してきたことが大きいと指摘する。つまり肉体労働が減ったので、高齢者でも働き易いということだ。また年金経済の専門家の中には、多くの人々はもっと柔軟な退職を望んでいると指摘している。

日本の状況を厚生労働省が17年6月に発表している「高年齢者就業実態調査」で見てみると、男性の場合60~64歳で68.8%が就業している。また16.1%が非就業ながら就業を希望している。65歳~69歳については49.5%が就業し、21%が就業を希望する非就業者である。

日本も又高齢者の就業希望が非常に高いと言える。そしてその動機も経済的なものだけではなく、社会的なネットワークの維持や確立にもあると考えられる。

思うに現在生きている労働法は、肉体労働に重きをおいた「第二次産業」中心の社会の産物であり、当時は平均寿命も今よりはるかに短かった。法律は部分的には手直しされているものの、社会の急激な変化に付いて行けていないということだ。

労働基本法を「第三次産業」中心社会、情報化社会、能力主義社会、高齢化社会に対応するべく、早急に手直しすることが今の日本で必要なことなのだろう。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

暫く円安が定着か?

2008年06月17日 | 金融

昨日(16日)ドル円レートは108.58円まで円安が進んだ。これは4ヶ月振りの円安水準だ。今年の第1四半期は金融危機が進行する中で米国の連銀が金利を下げたため、日米金利差が接近し、円高が進行した。株式相場が下落したため、キャリートレードのポジションが縮小し円買いが進み、円高は14年振りに95.78円/ドルまで進んだ。

しかし3月中旬のベアー・スターンズ救済から状況は変わり、株式市場の安定とともに、投資家のリスクテイク意欲が回復して、利回りの高い資産選考が強くなった。

日本以外の主要国ではインフレ退治が中央銀行の喫緊の課題のため、政策金利の引き上げが視野に入ってきているが、日本ではインフレの姿がチラチラしだした程度で、日銀の関心事は景気にあるので、当面の金利引き上げはなさそうだ。このため円・ドル、円・ユーロの金利差は拡大する可能性が高く円安が暫く定着する。

海外の金融面ではゴールドマン・ザックスが、ヘッジ・ファンド・チェイン・キャピタルが運営するSIV(Special Invetment Vehicle)のリストラクチャリングの最終段階に差し掛かっている。もしこのリストラの結果、SIVが保有する資産を透明性の高い方法で売却することができると、ストラクチャード・ファイナンス問題は新しいステージに入ることになる。

この一連の流れも投資家のリスクテイク意欲を増加させるはずで、円安要因と考えておいて良いだろう。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする