男性では65歳以上の、女性では60歳以上の雇用が増えている。ただし英国の話だが。ファイナンシャルタイムズ(FT)によると、英国では2008年3月までに、退職年齢以降の雇用が1年前に較べて、8.8%増加している。この年齢階層における雇用増加が他の年齢階層に較べて一番多い。因みに次に雇用増加が多かった年齢階層は男性で50歳から64歳の階層、女性で50歳から59歳の階層だ。
現在の英国の退職年齢は男性65歳女性60歳だが、女性の定年年齢も段階的に引き上げられ、2020年には60歳になる予定だ。
ついでに他の欧州諸国の退職年齢を見ると、ドイツには定年年齢はない。年齢を理由とする解雇は違法であり、年金受給を理由とする解雇も又「退職手当法」で違法だ。フランスの定年年齢は60歳である。
さて記事に戻ると、高齢者の雇用が拡大している理由として「出生率の低下」と「長寿化」をあげている。またある人々にとって仕事は嫌なものではなく、社会的なネットワークを確立し、社会参加をする場であるという。
またリーマンブラザースの上級政治経済顧問は、英国経済が重工業中心からサービス業依存型に移行してきたことが大きいと指摘する。つまり肉体労働が減ったので、高齢者でも働き易いということだ。また年金経済の専門家の中には、多くの人々はもっと柔軟な退職を望んでいると指摘している。
日本の状況を厚生労働省が17年6月に発表している「高年齢者就業実態調査」で見てみると、男性の場合60~64歳で68.8%が就業している。また16.1%が非就業ながら就業を希望している。65歳~69歳については49.5%が就業し、21%が就業を希望する非就業者である。
日本も又高齢者の就業希望が非常に高いと言える。そしてその動機も経済的なものだけではなく、社会的なネットワークの維持や確立にもあると考えられる。
思うに現在生きている労働法は、肉体労働に重きをおいた「第二次産業」中心の社会の産物であり、当時は平均寿命も今よりはるかに短かった。法律は部分的には手直しされているものの、社会の急激な変化に付いて行けていないということだ。
労働基本法を「第三次産業」中心社会、情報化社会、能力主義社会、高齢化社会に対応するべく、早急に手直しすることが今の日本で必要なことなのだろう。