日本企業が先行きの業績悪化懸念にも関わらず、配当の維持又は増配を計画していることが、日本株市場の上昇をサポートしているという。
FTは日興アセットマネジメントが集めたデータを紹介している。新年度についてそれによるとTPPIX100の中の約80社は配当を増やすか維持する計画である。その内の28社は減益予想ながらそうする予定だ。
また08年3月期については、100社の内70社が増配を予定し、26社が配当を維持する予定だ。これら合計96社の内38社は減益である。
日本株の配当性向は改善している。2004年には18%だったが、現在は25%に上昇している。しかしまだ米国の30%や欧州の50%に比べると低い。
日本企業が配当性向を引き上げている理由の一つは、内外の投資家が増配を要求しているからだ。例えば厚生年金基金連合会は、過大な現金を抱えている企業に増配を求めるべく議決権を行使すると言っている。また企業側も現金を抱えすぎると買収の対象になるので、手持ち現金を減らし始めているようだ。
手持ち現金の圧縮というと、自社株買いも進んでいる。東京証券取引所のデータによると、4月の自社株購入金額は2,687億円でこれは昨年の倍の金額だ。
3月中旬に起きたJPモルガンによるベアスターンズに救済劇以来、上昇を続けている日本株市場だが、上昇を牽引しているのは金融株等大型株だ。3月中旬からTOPIXは24%上昇しているが、TOPIX100は27%上昇している。また手元の資料をみると、みずほ株は3月中旬の最安値360,000円から昨日の556,000円へ54%も上昇している。
もっとも日本株にラリーが続いた要因には、配当性向の向上や自社買いの増加だけではない。対米ドルで95円まで進んだ円高が105円近辺まで戻した等の為替要因も大きいだろう。
だが大きな方向として日本企業が株主利益にウエイトを高めてきたことは評価して良いのだろう。