金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

Have a field day (イディオム・シリーズ)

2008年06月28日 | 英語

昨日(6月26日)欧米の市場では、株式相場は3%近い大暴落を見た。金融セクターに悪材料が重なった上に原油が又高くなったからだ。

FTはある証券会社の重役のThe bears are having a field dayという言葉を紹介していた。Bearの一番一般的な意味は「熊」だが、相場で使われる場合は「相場に悲観的な見通しを持っている人。売りに回っている人」という意味である。Have a field dayは「大いに楽しむことができる」と意味で、文章全体としては「相場に悲観的な見通しを持って売りに回っている連中が大いに楽しむことが出来る」ということだ。

Fieldには野外という意味が一般的だが、軍隊用語で「パレード」という意味がある。パレードは日常軍隊が行っている軍事訓練より楽なので、このようなイディオムにが生まれたとオンライン辞書のWiktionaryに書いてあった。

なお一個人投資家としては、The bulls are having a field dayという日が早く来て欲しいものである。Bullは一般的には雄牛だが、相場では「強気相場を期待する人」という意味だ。

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実効性は殆どない核計画申告

2008年06月27日 | 国際・政治

昨日(6月27日)北朝鮮が中国に核計画の申告書を提出した。これを受けて米国は対敵国通商法(The Enemy Act)の適用を取りやめ、テロ支援国家指定を取り消す予定と発表した。

夜のテレビを見ていると拉致被害者の家族の方が、インタビューに答えて「拉致問題が見捨てられるようで残念」という趣旨の話をしていた。日本のテレビが拉致問題に多くの時間を割くのは当然かもしれない。しかし冷静に見ると今回の北朝鮮の核計画申告はほとんど内容のないものである。このようなことをマスコミはもっと報じるべきではないだろうか?

内容がないというのは以下のような点である。北朝鮮はイランと異なり、核装備を実装し(イランは核を実装していないと見られる)、核実験を行っている。また核弾頭を保有している。しかし今回の申告書では「プルトニウムの生産・抽出量は記載するが、核兵器の保有情報は開示せず」(6月27日日経新聞朝刊)ということのようだ(中国はまだ受け取った「申告書」を公表していない)。

日経新聞によると「高濃縮ウラン型核計画と核拡散問題は別文書」と書いてあるが、北朝鮮は「別文書」を提出する積もりがあるのだろうか?

実はプルトニウムの生産設備は既に明らかになっているものや視察団により視察済みのものだとFTは報じている。北朝鮮はいつものやり口でだまそうとしているのである。

FTは「報告書の提出を持って、外交上の大成功だとか北朝鮮がまじめに核兵器を廃棄しようと考えているなどと騙されてはいけない」と警告している。この点については私もまったく同感で、北朝鮮が現在保有している核兵器の廃棄を行わない限り、テロのリスクは減少しないと考えている。

「外交とは血を流さない戦争であり、戦争とは血を流す外交である」という言葉があるが、北朝鮮がこのような駆け引きをしている間に恐らく相当数の北朝鮮の無辜の国民が食糧不足で飢え死にしているはずである。北朝鮮の歴史書には「外交もまた国民の血を流す戦争である」と書くべきであろう。

一方米国のブッシュ大統領は後数ヶ月で政権の座を降りる。最後に外交成果を挙げたいということだろうが、もし金正日につけ込まれることでもあると、汚点を拡大することになる。

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テイルスピン、どこで止まるのか?

2008年06月27日 | 金融

テイルスピンTailspinとは「飛行機の錐もみ下降」のことで、そこから「急激な事態の悪化」「市場の暴落」などの意味がある。昨日(6月26日)の欧米の株価急落をFTはテイルスピンと表現しているが、まさに手の打ちようがない株価急落だ。

悪い話の始まりは金融機関から来た。ベルギー・ドイツの銀行Fortisが、配当を中止し、資本増強のため株を売り出すというニュースに、金融セクターに対する懸念が高まりFTSEは2.6%下落し、2005年11月以降の最安値になった。

ニューヨークでは、シティグループが6.3%下落、GMは過去53年間の最安値。金融セクターには償却負担が増えるという観測が広がる中、原油は1バレル140ドルを越えた。OPECのヘリル議長は原油は直ぐに170ドルに達すると警告を発した。

FTはThe bears are having a fieldayと結んでいる。Have a fieldayは「やりたいことをやるチャンスを得る」というほどの意味だ。Bearは熊だけれどここでは弱気相場。熊(弱気相場)がやりたい放題をやっているというニュアンス。

株式市場のセンチメントを変えるきっかけはあるのだろうか?

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Stop short (イディオム・シリーズ)

2008年06月27日 | 英語

Stop shortには大きく分けて二つの意味がある。一つは「急に立ち止まる」と意味。もう一つはStop short of doing somethingという形で「しそうになったが止める」あるいは単に「止めることを決める」という使われ方がある。

FTにMeti stopped short of endorsing activist fund(以下省略).という文章が出ていた。Meti(経済産業省の略称)は、アクティビスト・ファンドを支持することをぎりぎりのところでやめた」という意味だ。

「ぎりぎりのところで止めた」という訳にいたるには、多少背景の説明が必要だろう。経済産業省は外国のアクティビスト・ファンド(もの言う投資家)が投資した会社の株価が改善しているという研究成果から、外国のファンドは日本の産業活性化のために必要という結論に達した。

しかし総てのアクティビストファンドが善玉とも言い切れないので、アクティビストファンドを支持することには踏み止まったということである。

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経産省、外資歓迎に転換?

2008年06月26日 | 社会・経済

経済産業省といえば、英国の投資ファンド・チルドレンがJパワーの株式を20%まで買い増しをしようとした時、国家の安全を理由に反対した。では経産省は外資が日本の会社に入ることをブロックしようとしているか?というとそうではなく、外資を歓迎するべく動いているとFTは報じている。

経産省の小宮 義則 産業資金課長は「外国のファンドを呼び込むことは『正式な政策』だ。日本の産業の競争力を高めるためには投資ファンドが必要だ」と言っている。

経産省は米国のアクティビスト・ファンド・スチール・パートナーズが10%以上の株式を所有する15の会社を分析した。それによるとファンドが投資した2年後を見ると、15社の内13社の株価が取得価格より上昇していた。またROAは、15社中10社で向上していた。

この事実より経産省は「ヘッジファンドであれ、バイアウトファンドであれ、ファンドはリスク資本を提供するだけでなく、金融スキルや情報を持ち込むので、産業発展のために必要なものだと結論付けた」とFTは報じている。

経産省は経済省と非公式に外国ファンドを優遇するべく税制改正を行なう相談を始めている。

☆     ☆     ☆

この話を投資に活かすならば、スチールなどのファンドが投資している銘柄に投資する手はある。スチールの保有銘柄は彼等のホームページ(日本語)などで調べることができる。アクティビストの調査力を借用するということだ。

それにしても、沢山の優秀な人材が日本にはゴロゴロしていると思うが、ワザワザ外国ファンドに教えてもらわないといけないことがそんなに多いのだろうか?

どこかおかしな話である。

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